しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年5月17日(木)

イスラエル擁護 米孤立

米、大使館移転を正当化

国連安保理 デモ隊への発砲めぐり

 【ワシントン=池田晋、遠藤誠二】国連安全保障理事会は15日、在イスラエル米大使館のエルサレム移転に対する抗議デモで多数の死傷者が出ているパレスチナ自治区ガザの情勢をめぐって緊急会合を開きました。デモ隊に対するイスラエル軍の銃撃や、大使館移転に各国から批判や懸念が噴出しました。一方、米国はイスラエルを全面擁護し、大使館移転を正当化。中東情勢をめぐる米国の孤立が改めて浮き彫りになりました。

 会合はクウェートの要請で開催。同国のオタイビ国連大使は「イスラエルによる虐殺を最も強い言葉で非難したい」と強調。「パレスチナ市民の保護」を目的とした安保理決議案を16日にも配布する考えを記者団に示しました。

 オブザーバー参加で発言したパレスチナのマンスール国連大使は、イスラエル建国により約70万人が故郷を追われたナクバ(大災厄)から70年の前日に、大使館移転を強行した米国の行為について「われわれ(パレスチナ人)の気持ちと権利を無視した」と非難。大使館移転は国際法と数ある安保理決議に違反するものであり、「エルサレム問題は(イスラエル、パレスチナによる)交渉を通じた最終的地位で解決されるべきだ」「大国(である米国)は、安保理決議を守るべきだ」と強い口調で主張しました。

 オランダのウーステロム国連大使は「イスラエル、パレスチナ双方の間の溝が急速に深まった」と指摘。「エルサレムの将来の地位に関する一方的な手段行使は賢明ではなく、非生産的で、国際法とも矛盾している」と断じました。

 フランスのドラットル国連大使は「フランスはエルサレムにおける国家の主権は認めていない」と断言。「エルサレム問題は(和平)交渉プロセスのなかで(解決にむけ)進められるべきであり、一方的な交渉がそれにとって代わるものではない」と述べ、米国による一方的な行為は、和平プロセスを阻害すると主張しました。

 米国の同盟国で、常任理事国の英国は独立調査を支持しました。

 米国のヘイリー国連大使は「イスラエルほど自制とともに行動する国はないだろう」と称賛。大使館移転についても「米国民の意思の表れだ」などと強弁しました。


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