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日本共産党

2018年5月17日(木)

主張

1~3月期GDP

マイナス成長が破綻浮き彫り

 昨年末まで8四半期(2年間)連続のプラス成長だと、安倍晋三政権が「アベノミクス」の成果のように宣伝してきた国内総生産(GDP)の伸び率が、今年の1~3月期はマイナスになったことが明らかになりました。個人消費など国内需要が軒並み落ち込み、輸出から輸入を差し引いた純輸出がかろうじてプラスです。大企業のもうけを最優先し、国民生活を痛めつけてきた「アベノミクス」の破綻は明らかです。国民の暮らしを立て直さない限り経済再生は実現しません。来年10月からの消費税率の8%から10%への引き上げなどもってのほかです。

長期化する「消費不況」

 四半期別では9期ぶりにマイナスとなった1~3月期のGDPは、実質で前期比0・2%落ち込みました。同じペースが続くとした年率換算では0・6%の減です。GDPの約6割を占める個人消費が節約志向などでマイナス0・001%、住宅投資が同2・1%、設備投資が同0・1%など、内需は軒並みマイナスです。輸出が0・6%増え、輸入を差し引いた純輸出が0・1%のプラスです。

 1~3月期がマイナス成長となった結果、2017年度の実質GDPは16年度に比べ1・5%のプラスにとどまりました。安倍首相が12年末に政権に復帰して以来、実質GDPは13年度2・6%の伸びとなったものの、14年4月に消費税を5%から8%に増税した後、14年度は0・3%のマイナスとなり、その後も15年度1・4%、16年度1・2%、17年度1・5%と低い伸びが続いています。目標にした3%の成長には程遠い限りです。「アベノミクス」が、大企業は潤しても国民の雇用や所得は増やさず、消費税の増税が加わって、「消費不況」が長引いているためです。

 総務省が発表している家計調査報告でも消費税増税後ほとんどの月で消費支出はマイナスが続いています。3月も実質0・7%減と2カ月連続の落ち込みでした。

 安倍首相は求職者に対する求人の割合を示す有効求人倍率が上昇してきたことで雇用の改善を宣伝しますが、増えるのは賃金の安い非正規の労働者が中心で、安定した雇用も所得増も実現しません。国会図書館調査・立法考査局の最近の分析も、一部で「人手不足」も言われるほどなのに賃金が伸び悩んでいる「謎」は、非正規雇用の増加が背景にあると指摘しています。

 最近相次いで発表されている企業の3月期決算を見ても、トヨタなど大企業は「アベノミクス」で大もうけを上げています。輸出や海外投資で稼いだ利益は「内部留保」などの形でため込まれ、雇用の改善や賃上げに回っていません。大企業の横暴を抑え、暮らしを良くすることが急務です。

消費税の増税は中止を

 「アベノミクス」は大胆な金融緩和や財政支出、大企業中心の「成長戦略」が3本柱ですが、黒田東彦日銀総裁と一体で進めた金融緩和はカネ余りを深刻にしただけで物価目標さえ「撤回」に追い込まれ、財政は悪化、大企業の海外進出で「成長戦略」もうまくいかず、今や“総破綻”の状態です。

 「アベノミクス」を直ちに中止し、消費や雇用など暮らしを立て直す政策に抜本転換すべきです。「消費不況」を深刻化する消費税の増税など絶対許されません。


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