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2018年4月29日(日)

朝鮮戦争の終戦合意 南北首脳会談

日本の外交・安全保障 求められる根本見直し

海兵隊も不要に

 歴史的な南北首脳会談で合意された「板門店宣言」は、朝鮮戦争の年内終戦を明記しました。1953年7月に国連軍(米軍)、中国、北朝鮮の間で交わされた休戦協定が平和協定に移行すれば、朝鮮半島のみならず、北東アジアの安全保障環境は激変します。朝鮮戦争を通じて形作られた日米安保体制をはじめ、日本の外交・安全保障政策は根本的な見直しを求められることになります。

「全土基地方式」

 50年6月25日に開戦した朝鮮戦争では、日本全土が米軍の出撃拠点となりました。こうした中、米国家安全保障会議(NSC)は「日本のどこであれ、必要と思われる期間、必要と思われるだけの軍を置く」(同年9月8日)という、世界に例のない「全土基地方式」を決定し、これを前提として、旧日米安保条約(51年9月署名)が結ばれました。

 安保条約に基づく在日米軍基地を前提条件として、日本から朝鮮半島への出撃態勢は今も維持されています。朝鮮国連軍地位協定第5条に基づき、横田、座間、横須賀、佐世保、嘉手納、普天間、ホワイトビーチが「国連軍基地」に指定されています。朝鮮国連軍の後方司令部は横田に置かれています。

 憲法9条を踏みにじる日本再軍備の指示(50年7月8日)も、米軍を朝鮮戦争に動員することで生じる“空白”を埋め、ソ連の侵攻を食い止めることが直接の動機でした。今日、日米軍事協力の指針(ガイドライン)で自衛隊が「朝鮮有事」に自動参戦する仕組みがつくられ、安保法制=戦争法のもとで、日本が集団的自衛権を行使する危険さえあります。

出撃態勢不要に

 朝鮮戦争が終結すれば、こうした出撃態勢は不要になり、北朝鮮の脅威を想定した軍事戦略は大転換を迫られます。トランプ米政権も朝鮮戦争の終結を支持しており、今後、米国の北東アジアへの関与の仕方も大きく変わる可能性があります。

 安倍政権は、北朝鮮脅威論を最大限に利用して政権の浮揚や大軍拡、さらに9条改憲の口実にしてきましたが、このような手法は今後、もはや許されなくなります。

 日本政府は、「軍事対軍事」の単純な発想から脱却し、朝鮮半島の非核化と北東アジアの平和構築、そして日朝国交正常化や拉致問題の解決といった諸懸案を解決するため、新たな外交戦略の構築が求められます。そうしなければ、日本は朝鮮半島情勢の進展から完全に置き去りにされてしまいます。

 在沖縄米海兵隊の存在理由も問われることになります。日本への海兵隊配備は、53年7月23日、米NSCが決定しましたが、その理由は、朝鮮戦争の休戦協定が「危険ないたずらになるかもしれない」、つまり休戦協定の崩壊に備えてのものでした。朝鮮戦争が終結すれば、当初の配備理由がなくなってしまいます。

 安倍政権は沖縄県民の民意を無視して、名護市辺野古で海兵隊の新基地建設を強行していますが、工事はただちに中止し、沖縄からの海兵隊撤退にかじを切るべきです。

 (竹下岳)


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