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2018年4月11日(水)

原発、2050年も「主要選択肢」

再エネ電源比率示さず

経産省有識者会議が提言案

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(写真)2050年のエネルギーに関する提言案をまとめた有識者会議=10日、経産省

 経済産業相主催の有識者会議「エネルギー情勢懇談会」が10日開かれ、2050年を見据えた国のエネルギー戦略について、「あらゆる選択肢の可能性を追求する」として、原発も「主要な選択肢」として使うことに固執する提言案が示されました。意見を踏まえ修正した上で、検討中の30年までの国のエネルギー政策「エネルギー基本計画」改定に反映させる方針です。

 有識者会議は、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」などを受けて設置。提言案は、2050年シナリオは「可能性と不確実性が混在する」などとして、多様な選択肢による複線シナリオを採用すべきと主張。「主要な選択肢」の電力として再生可能エネルギー、原発、火力を挙げ、今後の方針を提案。太陽光や風力などの再エネについては「経済的に自立した主力電源化を目指す」としつつ、50年時点でどれだけの電源比率にするか示していません。

 原発は「再エネの拡大を図る中で、可能な限り原発への依存度を低減する」としながら、一方で経済性などに優れた「炉の追求」を明記し、原発開発を盛り込みました。30年のエネ計画改定を審議する委員長でもある小松製作所の坂根正弘相談役は「国は原子力から逃げてはいけない」と、「原発の依存度低減」に反発しました。

業界の意向に沿う

 経産省の有識者会議が2050年を見据えたエネルギー戦略の提言案をまとめました。

 焦点の一つが、長期的な原発の位置づけです。提言案は、原発を「主要な選択肢」の一つと位置づけ、50年に向けても使うとしています。

 しかし、福島原発事故を起こした日本で、地震・火山国で過酷事故を起こす可能性をはらみ、処分の見通しもない「核のゴミ」を増やし続けて持続可能でもない原発が、30年以上も先の将来の選択肢になるでしょうか。国民世論は、即時廃止を含めて、いずれ原発をなくすことが多数です。提言案はこの願いに背を向けています。

 30年に向けた現行のエネルギー基本計画(14年に閣議決定)は、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけて原発活用を宣言。改定に向けた資源エネルギー庁の論点整理も「重要電源」と明記し、位置づけを変えない方針で、今後、電源構成の20~22%を原発で賄い、30基程度を運転させようとしています。

 今回はそれより長期の方針です。財界や電力業界が繰り返し要求する「新増設」や「リプレース(敷地内の建て替え)」の言葉こそないものの、経済性などに優れた原子炉の開発などを盛り込みました。委員で次期経団連会長の中西宏明・日立製作所会長は「原子力産業は始めたら、100年やめられない」と発言しました。提言案はこうした業界の意向に沿ったものです。

(「原発」取材班)


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