しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年3月25日(日)

主張

玄海原発再稼働

不安を置き去り 強行許されぬ

 九州電力が、玄海原発3号機(佐賀県玄海町)の再稼働を強行しました。3号機の運転は7年3カ月ぶりで、5月には4号機の再稼働を狙っています。安倍晋三政権は、原子力規制委員会が新規制基準で「適合」とした原発を次々と再稼働させていますが、規制委の審査は安全を保証するものではありません。そもそも規制委は原発事故の際の避難体制を審査の対象としていません。玄海原発の周辺自治体からは、住民の避難が困難だと再稼働反対の声が上がっています。地元の意思すら踏みにじり、再稼働を推し進める九電と安倍政権の姿勢は重大です。

自治体が「安全守れぬ」

 玄海3号機が再稼働した23日、長崎県の平戸、壱岐の両市議会が再稼働反対を全会一致で決議しました。両市は事故の場合の避難計画が必要な玄海原発から30キロ圏内にある8市町に含まれます。決議は、人の住む離島を数多く抱えているため事故が起きると「海路避難、陸路避難ともに大混乱が発生する」(平戸市)、「離島からの避難は船舶が主で、荒天や台風等も考えられることからどの自治体よりも不利な状況」(壱岐市)などを理由に挙げて避難計画の実効性のなさを訴え、「市民の安全を守ることが出来ない」と批判しています。長崎県松浦市議会も8日に同様の決議をし、佐賀県伊万里市も再稼働に反対表明しています。

 約26万人が暮らす30キロ圏内の3県(佐賀、長崎、福岡)の8市町のうち4市が反対する中で再稼働に踏み切ったことは、あまりにも民意無視です。「再稼働をするということは、周辺住民に福島原発のような凄惨(せいさん)な事故を覚悟することを迫っているのと同じ」(壱岐市議会決議)という地元の声こそ受け止めるべきです。ひとたび原発事故が起これば、30キロを超えた広範囲に被害を与えることは、7年前の東京電力福島第1原発の事故から明らかです。再稼働の強行に全く道理はありません。

 火山のリスクも問題です。広島高裁が昨年12月、四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止め決定を出したのは、同原発に対する阿蘇カルデラ(熊本県)の巨大噴火の影響を極めて深刻にとらえたからです。この考えに立てば、阿蘇カルデラからの距離が、伊方原発とほぼ同じである玄海原発の危険性は明白です。一昨年の熊本地震との関連などを警告する指摘もあります。

 3号機が、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使った「プルサーマル運転」であることも危険視されています。同運転は制御が難しいことに加え、使用済みのMOX燃料をどうするかなどの方針もありません。九電管内の電力消費量は低下傾向にあり、再稼働は必要ありません。

原発推進政治をやめさせ

 玄海原発3号機の再稼働に先立つ14日には、関西電力大飯原発3号機(福井県おおい町)の再稼働が強行されました。福島原発事故が起きた3月に次々と再稼働をすすめる電力会社と安倍政権は、無反省という他ありません。

 国民多数の声に逆らって原発再稼働を推進する「安倍政治」をストップさせることが求められます。市民団体の提案をうけ、日本共産党など野党4党が国会に共同提出した「原発ゼロ基本法案」の成立がいよいよ重要です。


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