しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年3月2日(金)

東日本大震災 福島原発事故7年

岩手県立高田病院の新築移転 本格開院 住民も安心

“入院治療もできる”

共産党も尽力

 東日本大震災の津波によって壊滅的な打撃を受けて仮設病院での診療から1日、高台に新築して診療を開始した岩手県立高田病院―。地域住民が待ちわびたオープンです。

 (岡素晴)


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(写真)看護師(右)から簡単な問診を受ける患者ら=1日、岩手県陸前高田市

 「これまで移転作業で多忙を強いられましたが、きょうが病院として本格開業になります。外来の患者さんが安心して診療を受け、帰っていけるように、とにかく安全な医療を心がけて頑張っていきましょう」。午前9時の診療開始を前に、田畑潔院長が医師や看護師らを前にのべました。震災により地域コミュニティーが弱まっている中で、地域のつながりを作りながらの医療活動が課題になっています。

 同病院は、精神科を除いて陸前高田市内で唯一の入院設備をもった総合病院として、被災前から長く地域医療を担ってきました。7年前の3月11日、大津波は海岸のそばにあった病院の4階まで達し、職員と患者を合わせ20人以上が亡くなりました。

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(写真)石木幹人前院長

 被災当時の院長だった石木幹人さん(70)は、一般住民も含め160人余りが屋上に逃れ、いてつく寒さに震えながら一夜を明かしたことを振り返りました。ヘリで救助されたのち、被災の翌々日から避難先のコミュニティセンターの一角を間借りし、救護所として訪れた患者に医療行為を始めたという石木さん。震災から4カ月後の7月に仮設病院が高台に開設して以降も含め、「薬の確保など、前の病院の時から医療の質を落とさないためにはどうするか、当初から努めてきました。その意味では、同じ被災者であり、家族を亡くした職員たちがみんな本当によく頑張ってくれた」。

 石木さんは、新たな県立病院に期待する役割について、「入院患者をしっかり診てほしい。今後、超高齢社会を迎える中で、短期でも入院して治療したほうが良いケースが増えてくると思います」と指摘します。

 同病院を退職後、市内の過疎地域で国民健康保険診療所に勤務し、訪問診療などに取り組んでいますが、「私の診療所では、入院させたくてもどうしてもできません。高田病院が入院をしっかり診てくれると、すごく安心感があります」

 病院の再建や仮設病院での入院機能の再開に向け、日本共産党も大きな力を発揮しました。当初、県の復興基本計画案には病院再建が盛り込まれず、入院機能の整備についても国の費用負担がないなどの壁が存在していました。党市議団や県議団が議会で問題を提起したことによって、県知事も病院再建を決意し、国会でも党国会議員団が入院機能の整備に向けて国の助成を要求し、政治を前に動かしました。

 開業当日のこの日、党市議団は同病院を訪問。藤倉泰治団長らが知り合いの外来患者に声をかけていました。藤倉市議は「70代の夫妻が『家から近くなっていがった(よかった)。いつでも通える』と話していました。陸前高田の住民にとってはある意味、復興のシンボルともいえる病院の再建です」と話していました。


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