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日本共産党

2018年2月27日(火)

シリーズ 憲法の基礎

9条は自由の基礎 軍事価値を否定

 憲法9条2項が戦力不保持を定め、徹底して軍事を否定したのは、国民の自由のためにそれがどうしても必要だと痛感されたからです。

 安倍晋三首相は、1月の施政方針演説で「明治150年」と述べました。しかし、明治維新(1868年)以来の150年は、戦前と戦後で全く異なる70年からなります。

 戦前の明治、大正、昭和は、国を統治する全権限を天皇が握る絶対主義的天皇制のもと、日本が戦争に明け暮れた時代でした。

 その中で、日本軍国主義と天皇制政府は、軍機保護法、治安維持法、国防保安法、新聞紙条例などで徹底的に国民の言論、思想と運動を弾圧。主権在民と侵略戦争反対を掲げた勢力は残虐な拷問を受け、生命まで奪われました。国家神道が強制され信教の自由は否定され、教育勅語などに基づく徹底した軍国主義教育で「お国のために血を流す」ことが無上の美徳とされました。

 国家総動員法は「国防目的達成ノ為国ノ全力ヲ最モ有効ニ発揮セシムル様人的及物的資源ヲ統制運用スル」ものとし、強制徴用をはじめ、戦争最優先に人もモノもすべて国家が取り上げたのです。

 日本国憲法が、9条で軍事を徹底的に否定したのは、歴史にてらし「戦争は自由の最大の敵」であるとしたからです。

 憲法学者の樋口陽一氏は『自由の基礎としての憲法第九条』という論考で、「基本的に一九四五年以前の日本社会は軍事的価値を最上位に置く社会でした。第九条の存在は、そういう社会の価値体系を逆転させたということに、大きな意味があったのです」と指摘。「天皇と軍とそのために死ぬことを力づけた国家神道、この三者の結びつきをいったん否定する。統治権の総攬(そうらん)者としての天皇から『象徴天皇』へ、国家神道から『政教分離』への転換と並んで、軍事価値の否定というところに、第九条が持ってきた大きな意味があった」として、「自由の保障」にとっての9条の意義を強調しています。

 (随時掲載)


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