しんぶん赤旗

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日本共産党

2018年2月20日(火)

核兵器廃絶こそ理性的政策

抑止力論は人類敗北の賭博

ミュンヘン安保会議 ICAN事務局長が訴え

 ドイツで開かれていた「ミュンヘン安全保障会議」は18日、閉幕しました。17日には、核兵器禁止条約採択への貢献が評価されて昨年ノーベル平和賞を受賞した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長が発言。核抑止力論を批判し、核兵器の禁止を21世紀の国際社会の枠組みとするよう呼び掛けました。(島田峰隆)


 フィン氏は「核の安全保障」をテーマにしたパネル討論の最後に登壇し、市民社会の代表として発言しました。

 「討論を聞いていて驚いたのは、議論が抑止や安全といった非常に抽象的なことに終始していたことだ」と切り出したフィン氏。「核保有国やその同盟国が核兵器で無数の人を無差別に殺害する準備をいかに整えているかという点が議論されていない」と批判し、「その背景には核抑止は決して失敗しないという考えがある」と指摘しました。

 フィン氏は、誤解や事故が原因で核兵器が使われる瀬戸際に世界が追い込まれたことが何度もあり、幸運にも人類が生き延びてきているだけだと強調。「抑止力が1回働いたとか働かなかったとかいう問題ではない」「幸運に依存することは適切な安全保障ではない」「核兵器が存在する限り、使われる危険がある。核保有国の政策は人類をもてあそぶギャンブルだ。それはすべての人が敗北するギャンブルだ」と強く批判しました。

 特に、トランプ米政権が今月初めに発表した「核態勢の見直し(NPR)」で核兵器使用の敷居を下げたと強調し、「核兵器の近代化、核軍縮の約束遂行の拒否によって核兵器の使用へと向かっている」と警鐘を鳴らしました。

 そのうえで「安全保障を強め、理性的で責任のある唯一の核政策は、核兵器を禁止し廃絶することだ」と明言しました。

 北大西洋条約機構(NATO)加盟国のノルウェーやイタリアの議会が核兵器禁止条約への参加の可能性を調査していることを歓迎し、「各国が核軍縮に揺るぎない意志を示し、核兵器の禁止を21世紀の安定した枠組みとする目標を持たなければならない」と力を込めました。


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