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2018年1月3日(水)

主張

日本外交の進路

憲法生かす努力こそ安全保障

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 「わが国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している」。軍備の増強、日米軍事同盟の強化、安保法制=戦争法の発動に突き進む安倍晋三政権の決まり文句です。北朝鮮の核・ミサイル開発が加速するなかで、各種世論調査を見ても国民の多くが日本の安全保障に不安を感じているのが現実です。しかし、問題の解決方法は軍事行動ではなく外交的、平和的な手段によるべきだというのが圧倒的多数の国民の声です。

世界でも特異な安倍政権

 昨年、安倍政権が取った行動は、国民の声とは正反対でした。核兵器禁止条約の採択に反対。地上配備型の迎撃システム「イージス・アショア」や長射程巡航ミサイルの導入を決定。自衛隊最大の護衛艦「いずも」をF35Bステルス戦闘機が搭載できる空母に改修する構想…。戦争の準備にしか見えないものばかりです。

 北朝鮮問題では、先制攻撃を含む「すべての選択肢がテーブルの上にある」という米トランプ政権を支持し、国会で「米国に先制攻撃という選択肢は絶対だめだと説得すべきだ」とただされても拒否しました。朝鮮半島で偶発的な衝突から戦争が起こる危険が増大するなか、米朝の直接対話を求める声が米国内を含めて相次いでも、「今は対話の時ではない」と圧力一辺倒の姿勢を変えません。

 元政府高官からも、「米国側から軍事力を行使すべきではないという考えを日本としても明らかにすべきだ」(秋山昌廣・元防衛事務次官)、「外交的解決の方法を見いだすことが安全保障上の最優先事項だ」(田中均・元外務審議官)と批判が上がっています。

 安倍政権の姿勢は、日本と同様に米国の軍事同盟国である韓国やオーストラリアと比べても特異です。韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は「朝鮮半島で韓国の事前同意のない軍事的行動はあり得ない」、オーストラリアのターンブル首相は「米国との同盟は決してオーストラリアの政策決定を束縛するものではない」と言明しています。

 昨年末、オーストラリア国立大学のエバンス学長(元外相)は、「各国が他国と対立するのではなく、安全を保証し合う『協調的安全保障』による国際的、地域的な環境」を築くように提言しました。インドネシアのマルティ元外相は、武力行使を無条件に放棄する「東南アジア友好協力条約(TAC)」と同様の条約を、東南アジア諸国、日本、米国、中国、インドなど「インド太平洋地域」で締結するよう改めて提案しました。

 こうした提唱は、北東アジア各国が「友好協力条約」を締結することを呼び掛けた日本共産党の「北東アジア平和協力構想」とも相通じるものです。

戦争につながる動き断ち

 「防衛」を理由にした軍備増強が近隣国の軍拡を誘発して戦争の危険を高める―。「安全保障のジレンマ」と言われる悪循環です。グテレス国連事務総長は、「私たちにとって起こり得る最悪の結果は、無意識のうちに、極めて悲劇的な状況をもたらしかねない戦争へと歩みを進めてしまうことだろう」と警告を発しています。

 軍事優先、米トランプ政権追従の外交から転換し、戦争が起こる可能性を断つ外交こそが、憲法を生かして本当に日本の安全を保障する道です。


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