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2017年12月24日(日)

安倍政権、女性自衛官の倍増狙う

海外派兵先の広告塔

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 安倍政権は女性自衛官の「倍増」を掲げています。男性自衛官の不足を補うとともに、海外での任務拡大が狙いです。自衛隊の「女性活躍」をめぐる動きを振り返ります。

 「女性自衛官はまだまだ足りない」。安倍晋三首相は昨年の自衛隊高級幹部会同での訓示でこう強調しました。

 防衛省は今年4月、「女性自衛官活躍推進イニシアティブ」を策定しました。現在の女性自衛官数は約1万4千人と過去最高。しかし、全体の比率は6%にとどまっていると問題視し、「女性自衛官比率を倍増させる」としています。同「イニシアティブ」で女性自衛官を求める背景として、「少子高齢化と高学歴化」「若年男子人数の減少傾向」をあげています。

現場の最前線に

 同時に防衛省は同月、女性隊員に、陸自の戦車中隊や偵察隊への配置を解禁すると発表しました。この決定で、実質的に陸海空の全ての職域で女性起用に道を開きました。現場の最前線にも武器を携帯して駆りだすことも可能です。

 防衛省女性職員活躍・ワークライフバランス推進本部は、「災害派遣や国際平和協力活動、また国際機関等への派遣など、女性自衛官の更なる活躍の推進をはかる」ことを掲げています。

 安倍政権が「成果」を誇る南スーダンPKO(国連平和維持活動)では、2012年の第1次施設部隊の女性隊員は当初0人でした。ところが、戦争法施行のもとで派兵された最終部隊(今年5月帰隊)の第11次隊には16人含まれていたことが判明しています。任務は派遣部隊の活動整備や道路補修。紛争が続く南スーダンの自衛隊宿営地には銃弾も通過していたと報告されています。

 本紙の情報公開請求に対して防衛省が開示した南スーダンPKO部隊の「教訓要報」によると、国連PKOが最優先任務に掲げている「住民保護」で「現地女性への対応は女性隊員にしかできない任務」だとしています。また、「目につくところで勤務させ、現地女性のロールモデル(模範・手本)となる」としており、派兵先の現地住民との良好な関係を保つ上で広告塔としての役割が期待されています。

危険任務に配置

 今年から陸海空の女性自衛官に戦闘任務が解禁されたために、今後海外でいっそう危険な任務につくことも予想されています。過去最も多く女性自衛官が海外派遣された事例は、イラク特措法に基づく約150人です。

 欧米諸国では女性兵士の比率は10〜15%。現在の紛争地は前線と後方の境がなく、市街地でも突然銃撃戦が始まります。米軍では女性兵士が応戦するケースも明らかにされています。また、EOD(爆発物処理)任務や遺体回収などに充てられるために、深刻なPTSD(心的外傷後ストレス障害)被害が報告されています。(吉本博美)


女性自衛官の変遷

 1954 自衛隊発足(看護職のみ)

 1967 陸自での一般職域採用開始

 1974 海自・空自での一般職域採用開始

 1995 女性自衛官1万人突破

 2002 女性自衛官初のPKO派遣(東ティモール)

 2015 空自が戦闘機パイロットを含む全配置開放

 2016 海自がミサイル艇や護衛艦への配置開放(潜水艦を除く)

 2017 陸自が戦車中隊や偵察隊への配置を開放(特殊防衛隊などの一部を除く)


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