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2017年12月19日(火)

主張

無期雇用への転換

政治の力で“抜け道”ふさげ

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 改定労働契約法に基づき来年4月から、雇用期間の定めのある労働者がそれまで同じ会社で通算5年以上働いた場合、本人が申し込めば無期雇用に転換できるルールが開始されます。ところが、5年になる前に雇い止めにしたり、「空白期間」を置いて再び雇用したりするなど“無期雇用逃れ”の違法・脱法行為が自動車大手や大学などで問題になっています。このままでは大量の雇い止めが生まれ、不安定雇用が再生産される危険性があります。安倍晋三政権は是正を求めるとともに“抜け道”をふさぐ法改正に踏み出すべきです。

400万人以上が対象に

 リーマン・ショックといわれた2008年の世界経済危機のさいに、日本で期間工や派遣労働者など有期雇用労働者が“生産の調整弁”として大量に解雇・雇い止めにされ大きな社会問題になりました。これを機に制度見直しの世論が高まり、12年の労働契約法改定で無期雇用への転換ルールが盛り込まれました。現在、有期雇用労働者は約1500万人に上ります。厚生労働省によればその3割が5年以上同じ使用者の下で働いており、無期転換ルールがきちんと適用されれば400万人以上が無期雇用になることができます。

 一方で、法律には財界の要求で“抜け道”がつくられました。通算5年の間に雇用契約のない「空白期間」、いわゆる「クーリング期間」が6カ月以上あると、それまで働いた期間がリセットされ、「通算契約期間に算入しない」(第18条2項)という規定です。日本共産党は当時、この規定が「無期雇用への転換を回避する手法を使用者側に与えるものだ」と厳しく指摘し、修正案を提出し改正を求めました。危惧したことが現実になっていることは重大です。

 いま民間の大企業や大学などで、この6カ月以上の雇用「空白期間」を設定し「5年ルール」を回避したり、有期労働者を5年で雇い止めにして「限定正社員」など別の形を装って雇用するなど、安定雇用の確保という法の趣旨に反する動きが広がっています。

 日本共産党の小池晃書記局長が特別国会の質問で告発したように、自動車メーカー各社はそれまで1カ月だった契約の空白期間を6カ月に変更して、5年たっても無期雇用に転換させない脱法行為をやっています。トヨタのある労働者は、空白期間を「次の採用まで6カ月空けてほしい」といわれ、寮も出るようにいわれました。仕事があるのに、安上がりの有期雇用をコマ切れで使い続ける姿勢が問われます。無期転換ルールを絵に描いた餅にしてはなりません。

 東京大学では、教職員組合の要求と運動で「空白期間」を廃止させ、続いて5年上限で雇い止めにする規定の削除を決めました。非常勤職員約8000人が無期雇用に転換できる重要な成果です。

労働者保護の趣旨徹底し

 安倍政権は「働く方の雇用の安定に向けて対応したい」といいますが、それならただちに対策に動くべきです。政府は労働者を保護する現行法の趣旨に反する実態をきちんとつかみ、是正させることが必要です。同時に、法律にある“抜け道”をふさぐことは政治の責任です。「クーリング期間」規定の削除や、契約の通算期間が1年を超えれば無期契約とみなすなど、法改正を決断すべきです。


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