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2017年12月16日(土)

主張

与党税制改定大綱

賃上げは大企業の減税なしで

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 安倍晋三政権の与党、自民党と公明党の税制調査会が2018年度の税制改定について大綱を取りまとめ、賃上げや設備投資などをした大企業の法人税を減税することや、所得税の控除を見直すことなどを打ち出しました。労働者の賃上げは当然ですが、そのために内部留保で潤う大企業にまで減税することには問題があります。国民が納得できる応能負担の税制にするとともに、大企業の賃上げは減税の見返りがなくても内部留保などを活用して実施すべきであり、それは十分可能です。

400兆円超す内部留保

 与党の税制調査会が18年度の税制改定の目玉の一つにしている賃上げ減税は、首相が言い出した3%以上の賃上げを実施し、国内での設備投資も減価償却費の9割を超えた大企業に、給与総額の増額分の15%を法人税から割り引くというものです。現在もある制度をさらに拡大するもので、中小企業の場合は1・5%以上の賃上げで割引が受けられます。

 社員研修など人材投資を増やした企業やモノのインターネットと言われるIoTに投資した企業も割引が受けられることになっており、法人税の割引は最大20%まで可能になります。

 財界・大企業は安倍政権になってから円安や株高によって大もうけを上げながら、法人税負担を軽減するよう求め続けており、国税と地方税を合わせた法人の実効税率は今年度(17年度)29・97%と30%を割り込み、来年度からはさらに29・74%にまで下がります。個々の大企業は研究開発投資などの名目でさらに軽い税金しか負担しておらず、賃上げやIoT投資などを理由にした今回の減税も財界・大企業の法人税負担軽減の要求に応えたものです。

 賃上げを理由にした法人税の割引は法人税を払っている企業しか恩恵を受けられず対象はほとんど大企業です。苦しい経営を強いられ、もうけも少ない中小企業が、苦しいやりくりをして賃上げを実現しても、法人税割引の恩恵はあまりありません。

 しかも大企業は大もうけを上げ、全体で400兆円を超すほど巨額の内部留保をため込んでいます。もうけや内部留保の一部を取り崩すだけでも、労働者の十分な賃上げは可能です。法人税割引の見返りがなければ賃上げしないとすれば、そうした大企業の態度こそ本末転倒です。

 法人税減税を要求する一方、財界・大企業は再来年(19年)10月からの消費税率の10%への引き上げは予定通り実行するよう安倍政権に求め続けています。文字通り国民にしわ寄せする身勝手な態度というほかありません。

格差是正にはほど遠い

 与党の税制改定のもう一つの目玉の「所得税改革」は、給料が高い会社員などの給与所得控除を引き下げ、全ての納税者に適用される基礎控除を引き上げます。「多様な働き方」への対応としており、一定の高額給与所得者は負担が増えるものの、本来手を着けるべき富裕層への優遇措置は温存されたままです。もともと所得が少ない人にほとんど恩恵はありません。格差是正には程遠く、生計費非課税の原則も実現しません。

 法人税も所得税も、負担の能力に応じて負担してもらう抜本的な改革を実現すべきです。


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