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2017年12月7日(木)

NHK受信料「合憲」

「支払い義務 合意必要」

最高裁

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 NHK受信料をめぐり、テレビを持つ人に契約締結を義務付けた放送法64条の規定が憲法に反するかどうかが争われた訴訟で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は6日、「合憲」とする初めての判断を示しました。

 判決は、「特定の個人、団体または国家機関等から財政面での支配や影響が及ぶことのないようにし、広く公平に負担を求めることによって、事業運営の財源を受信料によって賄うことにした」という趣旨や放送法制定時の経緯にふれつつ、「NHKからの一方的な申し込みのみによって受信料の支払い義務を発生させるものではなく、双方の意思表示の合致が必要であることは明らか」としました。

 しかし、NHKが裁判を起こして判決が確定すれば、契約は成立すると指摘しました。

 訴えられていたのは、2006年に自宅にテレビを設置した東京都内の男性。契約申込書を送っても応じないとして、NHKが提訴しました。

 男性側は、64条について、「支払いの強制は憲法が保障する契約の自由を侵害する」と主張。NHK側は「受信料は不可欠で、合理性や必要性がある」と反論していました。

 今後、900万世帯を超える未契約者への徴収に影響を与えることになります。


問われる公共放送のあり方

強制的徴収に懸念の声

 最高裁は、テレビ受信機の設置者とNHKとの受信契約を定めた放送法64条1項を「合憲」と判断しました。「憲法の保障する国民の知る権利を実質的に充足すべく採用され、その目的にかなう」というのが理由です。

 放送法は戦前、NHKの前身の「日本放送協会」が国民を戦争に駆り立てた反省から生まれました。時の権力に左右されない「自主・自律」の公共放送を、国民が支える受信料制度には合理性があるといえます。

 しかし、制度の大前提となる国民との信頼関係をNHKは損ねてきました。2001年には、安倍晋三官房副長官(当時)の指示で日本軍「慰安婦」問題を取り上げた「ETV2001」が改変される事件が発生。14年、「政府が右というものを左というわけにはいかない」という籾井勝人前会長の登場で、「政権寄り」の報道姿勢に拍車がかかりました。

 各地でNHK問題を考える視聴者団体が立ち上げられ、受信料の支払いを一時凍結する運動も広がりました。一方、NHKは06年から未払い者への民事手続きを強化し、約4000件で訴訟に発展しています。

 判決が「NHKからの一方的な申し込みのみによって受信料支払い義務を発生させるものではなく、双方の意思表示の合致が必要である」と指摘していることは重要です。NHKが強制的な取り立てを強めれば、「受信料の“税金化”が進み、政権の放送内容への干渉が強まる」との懸念も識者から表明されています。

 政権との距離をどうとるのか、公共放送としての役割をどう発揮していくのか―。NHKの明確な説明と対応が求められています。(佐藤研二)


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