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2017年11月6日(月)

エミレーツ航空 組合員の解雇無効判決 大阪地裁

黒字会社のリストラに歯止め

大手の相次ぐ部門閉鎖

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 世界の大手航空会社エミレーツ航空が、西日本支店(大阪市)内の部門閉鎖で労働組合に加入した労働者3人の追い出しを狙った解雇に対して、大阪地裁は10月末に解雇無効を命じました。近年、電機メーカーなどが経営に余裕があっても部門切り捨ての手法で強引にリストラする事例が相次いでおり、歯止めをかける重要な判決です。(田代正則)


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(写真)解雇無効判決を勝ち取り、エミレーツ航空支店前で職場復帰を求める労働者と支援者たち=10月23日、大阪市

 「勝訴は多くの支援のおかげです。労働組合をつくったのは、職場をよくするためです。職場に戻りたい」。エミレーツ航空を提訴した女性組合員は、喜びをそう語ります。

 同社は、アラブ首長国連邦ドバイを本拠地として、80カ国150都市以上に就航し、世界で5指に入る航空会社です。ヨーロッパの強豪サッカークラブスポンサーとしても有名です。

 訴状などによると、同社に労働組合がつくられたのは、2013年1月。予約発券の仕事をしていた3人が、航空連の個人加盟組合「スカイネットワーク」大阪支部でエミレーツ分会を結成。職場のパワハラ是正や、残業代が支払われない問題の解決を求めて同社に団体交渉を申し入れました。

 同社は14年5月、「予約部門・コールセンターの廃止」を発表し、希望退職を募集しました。希望退職に応じなかった組合員3人に自宅待機命令を出し、9月1日付で解雇を通告しました。

 同社は、日本路線が赤字だと主張していますが、会社全体は14年までの27年連続黒字。年1000億円を超える純利益をあげています。しかも当時、日本路線の増便など積極的な拡張を進めていました。

 組合は、この解雇は「整理解雇の4要件」〈(1)人員削減の必要性(2)解雇回避の努力(3)解雇対象者選定の合理性(4)解雇手続きの妥当性〉を満たしていないと批判し、15年2月、大阪地裁に提訴しました。また解雇の真の狙いが労働組合つぶしの不当労働行為にあることを訴え、大阪府労働委員会に申し立てました。

 大阪地裁(内藤裕之裁判長)は10月23日、解雇無効の判決を出しました。裁判所は、会社全体では黒字であり、経営合理化のための人員削減は緊急性が低いと評価して「でき得る限り解雇を回避すべき高度な回避義務を果たす必要があった」と判断。経営難の場合よりももっと解雇を避ける必要があったことを指摘しました。

 大阪府労委は昨年10月、解雇は組合員を社内から駆逐する目的の不当労働行為だと認定して撤回するよう命令を出しました。現在、同社は不服を申し立て、中央労働委員会で審理中です。

 組合側は、大阪府労委でも大阪地裁でも勝利したことを受け、会社に控訴せず、すみやかに事件を解決するよう求めています。


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