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2017年11月1日(水)

主張

マイナンバー2年

やはり国民は必要としていない

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 安倍晋三政権の推進するマイナンバー(共通番号)が11月から新しい運用段階に入ろうとしています。税や社会保障など住民の個人情報を行政機関や自治体のあいだでやりとりする「情報提供ネットワークシステム(NWS)」を本格運用させるというものです。日本に暮らす住民全員に12桁の番号を割り振り、行政や金融機関の手続きに使わせるというマイナンバーはスタートから2年ですが、国民は「利便性」は実感できず、手続きのわずらわしさや情報管理などへの不安を強めています。国民が求めていない制度を無理に推し進めるのは、あまりに乱暴です。

カードの普及は頭打ち

 政府が11月から本格的な運用を開始するとしている「情報提供NWS」は、47都道府県と約1700市区町村、日本年金機構、税務署などの公的機関をつなぐ巨大なネットワークをつくり、マイナンバーを通じて住民の情報をやりとりするのが目的です。もともと今年1月に始める予定でしたが、日本年金機構の125万件にのぼる個人情報流出が発覚し、実施が延期されてきました。

 今年7月から試運転を行ってきたものの、この間、多くの行政機関で対応に不備があることなどが指摘され、連携をさらに先延ばしする組織も生まれるなど、情報の管理や運用にたいする不安は依然として払しょくされていません。政府は、児童手当などの手続きに住民票が要らなくなることなどを盛んに宣伝しますが、他人に知らせてはならないマイナンバーを管理する手間や面倒を考えれば、果たして便利かどうかは不透明です。

 国民がマイナンバーを切望していないのは2015年10月の制度開始から2年たつのに、政府が奨励する「マイナンバーカード」の普及が人口比10%にも満たないことからも明らかです。全ての住民を対象に一昨年郵送された「通知カード」と異なり、プラスチック製のマイナンバーカードを作成するかどうかは個人の任意の判断です。同カードを持っていなくても諸手続きに全く支障はありません。むしろマイナンバーと生年月日、顔写真、個人情報を蓄積できるICチップが一体となっているカードを持ち歩く方が、盗難や紛失のリスクを高めます。カードを申請しない国民の懸念や不安は当然です。

 それにもかかわらず安倍政権が熱を上げているのは、カード普及のためにマイナンバーの利用対象をひたすら広げることです。自宅パソコンで行政手続きができるとか、コンビニで住民票が取れるようになるとか、図書館でもカードが使えますとか―。そのために多額の公金を投じようとしています。しかし国民が望んでいない制度をいくら「拡充」しても危険や矛盾はごまかせません。いったん中止して徹底検証し、国民的な議論をおこなうべきときです。

「監視社会」への懸念も

 もともとマイナンバーは国民の税・社会保障情報を管理し社会保障費を削減するための道具にしたい財界の要求から出発したものです。マイナンバー関連の情報が警察捜査に利用されたことなども判明し、「共謀罪」法を強行した安倍政権下で、マイナンバーを通じた「監視社会」づくりに拍車がかかることを警戒する声も強まっています。国民の利益にならない制度は廃止にすることが必要です。


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