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2017年10月23日(月)

主張

相次ぐ過労死

若者の命を奪う異常をただせ

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 若者が長時間労働やパワハラで追いつめられて死に至る「過労死」「過労自殺」が連続しています。一昨年のクリスマスに自殺し、今月6日に会社が有罪判決をうけた広告大手・電通の女性社員は24歳。新国立競技場の建設に従事し、今年3月に自殺、労働災害と認定された大成建設の下請け会社の男性社員は23歳。急死して労働災害と認定されたあと3年間公表されなかったことが遺族から批判されているNHKの女性記者は31歳。日本を代表する企業で将来ある若い命が奪われている異常な働き方を一刻も早く是正する必要があります。

「白書」が示す深刻な実態

 厚生労働省が今月6日、「過労死等防止対策白書」を発表しました。過労死家族の会などの運動が実って2014年に「過労死等防止対策推進法」が成立し、昨年初めて白書が出されましたが、今回はその2年目となります。

 これによると状況はますます深刻です。脳・心臓疾患による労働災害補償は、16年度の請求件数は825件で前年度より30件増え、認定も前年度を9件上回る260件(うち死亡は107人)です。

 精神障害はさらに深刻で、請求件数は前年度を71件も上回る1586件、認定も前年度より26件増の498件です。請求、認定ともに過去最高を更新しています。自殺者(未遂を含む)は84人、認定件数の23%が29歳以下です。

 過労死をうむ原因が異常な長時間労働にあることはすでに明らかです。日本は、労使協定を結べば、1日8時間・週40時間の制限を超えて青天井で残業させることができます。ヨーロッパではEU(欧州連合)の指令で、労働時間は週48時間とし、退社したあと翌日の出勤までの間に11時間の連続休憩時間を設ける「勤務間インターバル制度」を設定し、労働者を守っていることと大違いです。

 安倍晋三政権は長時間労働の是正をとなえ、総選挙前に「働き方改革」関連一括法案要項をとりまとめました。しかしこれは長時間労働を一層ひどくする内容です。

 残業の上限時間は、休日労働を含んで2〜6カ月平均で80時間、単月で100時間未満です。これは厚労省が定めている「過労死」の認定基準を残業の上限に転用したもので、「過労死ラインまで働かせてもいい」というお墨付きを企業に与える内容です。

 さらに問題は、労働時間規制の対象外にし、残業代なしで働く「高度プロフェッショナル(高プロ)制度」の新設、どんなに長時間働いても労使が合意した時間だけ働いたとみなす企画業務型裁量労働制の適用拡大です。企業の労働時間管理責任を免責する方向では、「過労死」はなくせません。

本物の改革こそが必要

 「過労死」をなくすために求められているのは、労働基準法に残業の上限時間を週15時間・月45時間・年360時間と明記することです。ヨーロッパのような連続11時間の「勤務間インターバル」の確保は不可欠です。

 残業代は1日2時間を超えたら割増を50%にし、サービス残業が発覚したら支払額を2倍にすること、労働時間を正確に記録するために、企業に労働時間管理台帳をつくることを罰則付きで義務付けることも必要です。本物の働き方改革こそが急がれます。


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