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2017年10月18日(水)

BS日テレ 「深層NEWS」 志位委員長が語る

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 日本共産党の志位和夫委員長は16日夜放送のBS日テレ「深層NEWS」に出演し、総選挙の対決構図、「森友・加計疑惑」、経済問題、憲法問題などについて、吉田清久「読売」編集委員、粕谷賢之日本テレビ解説委員長のインタビューに答えました。

「野党乱立」?

―野党でなく与党勢力に分裂がおこっている

 冒頭、吉田氏は「希望の党」結党の動きについて「野党乱立となったが」と質問。志位氏は、「野党共闘にとってはたいへん難しい問題がでてきたなと思いました。野党共闘をつぶす流れですから」と振り返ったうえで、次のように答えました。

 志位 2年間、野党共闘をやってきまして、去年の参院選挙では32の1人区の全てで野党統一候補をつくって11で勝った。新潟県知事選挙や仙台市長選挙でも勝ってきました。ですから、この“共闘の絆”は簡単にはなくならない。こういう状況のもとでも共闘をすすめようという勢力とはしっかり手を結ぶということをその時(「希望の党」への民進党の合流決定時)申しました。そのあと新しい動きが起こってきて、(日本共産党、立憲民主党、社民党の)3党での協力という体制がつくれたと思います。

 「希望の党」は野党とは思っていないんですよ。党首討論で小池(百合子)代表に直接お聞きしたんです。「公約を拝見すると『安保法制容認』、『9条を含む憲法改定』、『原発ゼロ』をおっしゃるけど『再稼働容認』。こうなると(自民党と)どこが違うんですか」と。そうしますと定かな答えがないんですね。

 ですから、自民党と基本は同じだと。私は、自民党の補完勢力だというのがこの党の姿だと思っています。野党が割れたというよりも、むしろ与党勢力のほうに分裂が起こっているという状態だと思います。

「批判票が分散」?

―「自公と補完勢力」VS「市民と野党の共闘」が日に日に鮮明に

 選挙情勢をめぐって「共産党は立憲民主党が躍進するあおりを受けて、やや厳しいたたかいを強いられているが」と吉田氏。志位氏は「これからあと1週間ありますから、最後まで頑張りぬいて、野党勢力全体としても躍進するし、その中で共産党も躍進するという結果を出したい」と述べました。また「共産党、希望の党が争っているようなところでは、安倍批判票が分散していると見えるが」との質問に答えました。

 志位 そういう事態を「希望の党」がつくっていると思います。安倍批判票を野党3党のほうに来ないようにする役割を果たしてきたと思うんですが。

 ただここにきまして、「希望の党」に対する期待感が下がりまして、大失速でしょ。そうなりますとだんだんおのずと、「三極対決」というけど、もう「三極」じゃない。「自公と補完勢力」VS「市民と野党の共闘」、これが本当の対決構図だということが、一日一日鮮明になると思うんです。そうなりますと、野党が乱立じゃなくて、与党勢力の乱立だとだんだんなってきます。私は情勢を変えうると思います。

「疑惑に関与の事実ない」?

―事実はたくさん、昭恵氏、加計氏本人が語るべきだ

 「安倍暴走政治」の中身を問われた志位氏は、憲法を壊し、民意を踏みつけにし、国政私物化疑惑にまみれているという、これまでの自民党政権にもなかったのが安倍政権の特徴だと指摘。「『さよなら安倍政治選挙』にしなくちゃいけないし、市民と野党の共闘の力で、そして比例で共産党を伸ばしていただいて、新しい政治をつくる選挙にしていきたい」と意気込みを語りました。そのうえで、「森友・加計疑惑」の本質を問われて次のように述べました。

 志位 (森友疑惑では)国民の財産である国有地を食い物にしていたのではないか。(加計疑惑では)獣医学部新設で特別の便宜が図られていたのではないか、そうなりますと(学部新設で)私学助成が入るわけですから、国民の財産が特定のお友だちといわれる人に使われることになる。非常に深刻な疑惑だと思います。

 吉田 安倍首相は、討論の中で「私が関与した事実はない」といいましたが。

 志位 広い意味の関与の疑惑はきわめて深刻だと思うんですよ。

 たとえば、(安倍首相の)昭恵夫人が(森友学園が開設しようとした小学校の)名誉校長に就任した。そのことを前後して、ばたばたと(国有地の)値引き交渉がまとまっていきましたね。あるいは昭恵夫人付きの職員が森友側の要望を財務省に伝えていて、(結果的に)「満額回答」になった。こういう事実がたくさんある。ですから、関与の疑いというのは極めて深いと思いますね。

 私は、この問題で何度も安倍さんと党首討論でやってきました。安倍さんは、かくかくしかじかで問題ないんだというんだけど、私は安倍さんにいったんですよ。「だったらなぜ2人の方を隠すのか。一人は昭恵さん、もう一人は(加計学園理事長の)加計孝太郎さん。出さないじゃないですか。みんな間接話法で、安倍さんが、いやいや、かくかくしかじかで問題ないんですといくらいっても、ご本人の口から聞かなかったら、国民はいつまでたっても疑問の解消はできませんよ」と。

 やっぱりこれをやらないと、国民の7〜8割が「(首相は)説明していない」としているわけだから、この疑惑はいつまでたっても晴れないと思いますね。

「アベノミクスは成功」?

―実質賃金も家計消費も減で格差は拡大、大本からの転換を

 粕谷氏は「景気拡大が続いている。アベノミクスは成功じゃないですか」と質問。志位氏は、安倍首相が「大事な二つの数字をいっていない」と指摘しました。

 志位 一つは、働く人の実質賃金、安倍内閣のもとで10万円減っています。もう一つは、家計消費。これが安倍内閣のもとで1世帯あたり22万円減っている。ですから、賃金と消費という(経済の)一番根幹のところは冷え込んでいる。「実感がない」というのはそこからきているわけです。

 たしかに、一部の大企業や富裕層にはお金がどーんと積みあがったかもしれないけど、庶民の暮らしは一向によくならない。格差が拡大しただけだったという結果だったと思うんですね。この政策は大本からの転換が必要だと思います。

 株価が上がっている評価を問われ、志位氏は「この間の株価の動きは、異次元の金融緩和というやり方で円安・株高を誘導してきた結果だ」と指摘。米誌『フォーブス』の調査で日本の上位40人の超富裕層の資産が安倍政権の下で2倍になったことも紹介し、「庶民のところにお金が回らない。これが一番の問題です」と指摘しました。

「共産党は変えられる」?

―労働法制の規制強化で内部留保の還元、富裕層・大企業に応分負担を求める税制改革を

 粕谷氏は「景気の実感、庶民として乏しいのが現実。庶民の可処分所得も落ちています。共産党の力で変えることはできるのでしょうか」と質問。志位氏は「できます」とズバリ答えました。

 志位 たとえば大企業に400兆円の内部留保がたまっている。どんどんたまっていくばかりなんですよ。お金の使い道がなくなっちゃっている。お金があるところにはたまっているけれど、庶民のところには回らない。

 何でたまっているのか。一番大きな原因は、労働法制の規制緩和をやってきた。非正規を増やしてしまった。いま若い方の2人に1人は、パートや派遣など非正規雇用です。女性も2人に1人は非正規です。全体でも3人に1人が非正規。こういう非正規が当たり前みたいな社会にしてしまった。企業がもうかっても労働者に還元されない。こういう社会にしてしまった。

 ですから、労働法制の規制を強化する。非正規の方を正社員にする。あるいは長時間労働を法律で規制する。そういう改革をやっていくことによって400兆円が動き出して、庶民のふところに回っていくことが、私は可能だと思っています。

 吉田 日本経済の成長につながるのという疑問を呈する向きもあるんですが。

 志位 庶民の暮らしを応援して、貧困と格差を是正して、その流れの中で成長させていくというのが私たちのプランです。

 実際、安倍さんは「経済成長がずっと続いている」とおっしゃいます。しかし、実質GDP(国内総生産)をみますと、民主党政権の時代が年平均1・6%増。それが1・2%になってしまっている。実質GDP(の成長)は鈍化しているんですよ。

 ですから、こういう大企業ばかり、富裕層ばかりがもうかる経済では、経済成長自体ができなくなっている。大企業がため込んでいるお金をきちんと庶民の暮らし、中小企業にも回るようにする。そして、消費税を上げたことがこれだけの消費不況を招いているわけですから、消費税10%は中止して、富裕層や大企業に応分の負担を求める税制改革をやる。そして社会保障や教育や子育てや若者というところに予算を厚く使う。こういう改革全体をやることによって、庶民の暮らしがあったまって、需要が増え、消費が増えて、そして経済が健全な安定的成長の軌道にのる。これが私たちの経済成長のプランなんです。

「財源はどこから」?

―“二つの税のゆがみ”をただせば消費税2%分は出てくる

 消費税10%増税中止の場合、消費税2%分はどこから―との質問が出されました。「私たちはかなりまとまった財源政策を出しているんです」と志位氏は続けました。

 志位 まず最初に手をつけたいのは、“二つの税のゆがみ”です。

 いま日本では、株でもうけたお金にかかる税金は20%。どんなにたくさんもうけても20%。所得が1億円を超えると、富裕層になればなるほど、税の負担率は下がってしまう。この逆転現象があるんです。株取引あるいは配当にかかる課税を世間並みにしますと1兆円でてきます。

 それから大企業しか使えない研究開発減税などの大企業優遇税制があります。そのためにこういう逆転現象がある。中小企業の法人税の実質負担率は19%、大企業は12%。これおかしいでしょう。これを大企業にもせめて中小企業並みに払ってもらおうと。この改革をやりますと、4兆円でてくる。あわせて、1たす4で5(兆円)でしょ。この“二つの税のゆがみ”をただしただけでも、消費税2%分出てくる。

 吉田 それをやると、日本の企業の競争力がそがれるという指摘もありますが。

 志位 私たちは中小企業並みにしようといっているだけですから。中小企業でも立派に今の国際環境のなかでやっているのですから。

 それから「税をかけると大企業は海外に逃げてしまう」という話もありますが、経産省の調査で、企業がどういうところに投資するかというアンケートがあるんですよ。政府自身のアンケートですが、ダントツトップは「需要のあるところに投資する」と(の回答です)。税の問題をあげているのはごく少ないんですね。つまり、企業は需要があるところにもうけを求めて出て行くわけです。

 なぜ空洞化するのかというと、日本の国内の需要が冷えているからですよ。だから外に出て行っちゃう。だから国内の需要――内需をよくする対策をやることが、空洞化対策にもつながると思っています。

北朝鮮問題では?

―経済制裁と一体で「対話による平和的解決」を

 粕谷氏は「北朝鮮情勢がこういう最中に、綱領で自衛隊は違憲、安保廃棄をうたっている共産党に1票を投じることにためらいを感じる有権者もいると思いますが」と質問。志位氏は、次のように答えました。

 志位 北朝鮮の核・ミサイル開発は、もとより断固許すわけにいかない。当然のことです。

 同時にいま、私たちが強く訴えたいのは、どんなことがあっても戦争だけは起こしてはならないと。いまの具体的な危険がどこにあるかというと、米朝両国の軍事的緊張が高まる――恫喝(どうかつ)の応酬のもとで、当事者たちの意図にも反して、偶発的な事態、あるいは誤算から軍事衝突が起こる。ここにあると思うんですよ。ひとたび軍事衝突が起こると戦争になる。そしてこの戦争は核戦争でしょ。ですからこの戦争をいかに食い止めるかということがたいへんに大事だと思うんですね。

 つまり二つの大原則が大事だと思うんです。一つは、北朝鮮の核開発を絶対認めない。もう一つは、戦争は絶対に起こさない。そうしますと方法はやはり「対話による平和的解決」しかない。経済制裁の強化はもちろん必要です。しかし制裁強化だけでは問題は解決しません。制裁強化をやりながら、対話の糸口をいかに見いだしていくか。それと一体の平和的解決が大事で、ここにこそ力をそそがなければならないと思うんですね。

 ところが、そのときに、とにかく憲法改定だ、あるいは安保法制をどんどん発動して軍事で対応しようということになってきますと、まさに軍事対軍事の悪循環を日本の側からつくることに、私はなると思います。いまこそ、いかにこの問題を平和的に対話で解決するか。ここに英知を絞らなきゃならない時だと思いますね。

「護憲で共闘できる」?

―安倍9条改憲反対、安保法制は廃止で野党3党は一致

 憲法9条の1項、2項を残して自衛隊の存在を明記するという安倍9条改憲。「社民党とは足並みがそろうが、立憲民主党は少し距離がある。護憲で共闘できるのか」(吉田氏)との問いに志位氏は答えました。

 志位 野党3党で確認している一致点は、「安倍政権のもとでの憲法9条改悪は許さない」と。ここは市民連合と野党3党はしっかり確認しています。

 (安倍首相は)「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」という。安倍さんは「何も変わらない」といいますが、これやりますと、事実上、9条2項が死んでしまって、海外での武力行使が無制限になるということで反対しております。

 同時に、立憲民主党と社民党とも共通している考え方ですが、安保法制は憲法違反だと考えております。いま安倍さんが(憲法に)書き込もうとしている自衛隊というのは、災害救助のために頑張っている自衛隊じゃない。安保法制を実行する、すなわち集団的自衛権を行使する自衛隊を書き込もうとしている。そうしますと憲法改定によって、憲法違反の法律を合憲化してしまうことになる。これは受け入れられないという点では(野党3党は)一致しているのです。


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