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2017年9月7日(木)

主張

暮らし安定と経済

生活向上しない政策は中止を

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 経済政策の目的は、国民生活の安定・向上にこそあります。最近相次ぎ発表された賃金や消費などの経済データは、安倍晋三政権の経済政策が生活を安定させるには程遠い状況を示しています。そんな中、茂木敏充経済再生担当相が8月末の月例経済報告で、「景気拡大」は第2次安倍内閣が発足した2012年12月から今年8月までで57カ月となり、戦後2番目に長い「いざなぎ景気」に並ぶという見解を表明しました。しかし、国民にはそんな実感はありません。なぜなのか。「謎」を解くのは大企業の内部留保が400兆円を突破した1日発表の数字です。

「2番目」でも実感なし

 「景気拡大」がいつから始まりいつまで続いたかは、今後検討し正式決定することになります。いまの経済が、「いざなぎ景気」(1965年11月〜70年7月)に並ぶというのが本当なら、明るいニュースのはずです。ところが国民には戦後2番目の「景気拡大」と言われても実感はわきません。

 実際、「いざなぎ景気」の時は「経済成長」が続き、国内総生産(GDP)も毎年10%近い成長だったのに対し、今回はほとんど停滞です。「いざなぎ景気」の間にGDPは1・63倍になったのに、今回はわずか1・07倍です。

 一番の違いは、GDPの約6割を占める個人消費がほとんど増えていないことです。「高度成長」期は景気拡大とともに国民の所得も増え、「3C」といわれたカラーテレビ、クーラー、自動車などの売り上げが拡大しました。ところが今回の「景気拡大」は、大企業は大もうけをしても所得は増えず、消費も低迷したままです。国民に実感が伴わないのは当然です。

 それを浮き彫りにしたのが1日発表の財務省の法人企業統計です。大企業(資本金10億円以上、金融・保険業を含む)は2016年度の経常利益を増加させたのに、賃金などには回さず、法人税も安くなっていることもあり、内部留保(ため込み)だけは15年度より17・6兆円も増やしました。年度として初めて400兆円超の計上です。安倍首相が政権復帰した12年度に比べ、内部留保は69・9兆円も増えました。大企業のもうけが、賃上げにも雇用を増やす設備投資にも回っていないことを改めて裏付けています。

 安倍政権は「経済再生」を最優先課題だとし、円安や株高、法人税減税などで大企業がもうかれば、回り回って賃金も消費も増えるという経済政策「アベノミクス」を推進しています。しかし、大企業のもうけは内部留保に回るばかりで賃金は上がらず、雇用もパートや派遣など安上がりの「非正規」を増やしただけです。「アベノミクス」のごまかしは明らかです。

国民生活こそ最優先に

 消費税増税や社会保険料の負担増が国民に追い打ちをかけており、可処分所得は上がらず消費を増やすゆとりはありません。大企業が潤っても、これでは国民の暮らしが上向くはずはありません。

 大企業のもうけや内部留保を賃上げや雇用に回せというのは、まともな経営者や保守系議員でさえ認める当たり前の主張です。大企業をもうけさせるだけの「アベノミクス」や国民への負担増押し付けは直ちに中止し、国民生活の安定・向上こそ最優先だという経済政策の原点に立ち返るべきです。


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