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2017年8月31日(木)

主張

銀行カードローン

“生活苦を食いもの”許されぬ

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 銀行が発行する専用カードを使い、無担保で現金を借りられる銀行カードローンの規制を求める声が強まっています。十数%というサラ金並みの高金利で借りたお金を返せなくなり、自己破産に追い込まれる人たちが相次いでいるためです。生活費のやりくりに困り果てカードローンで借金を重ねたことで返済不能になった―そんなケースが後を絶ちません。大銀行などが、経済的に苦しい人たちをもうけのための食いものにしていることは重大な問題です。

増加に転じた自己破産数

 「お近くのATMで」「24時間いつでもお申し込み」。銀行各社のカードローンの宣伝文句です。手軽さなどを盛んに売り込むなかで、銀行カードローンは広がり、貸付残高は2013年から急増、16年は5兆4377億円にのぼりました。サラ金など貸金業者の貸付残高の2倍以上です。

 背景にあるのは、国民の生活苦です。金融庁の調査によれば、カードローンを使う理由で最も多かったのは「生活費不足」(38・1%)でした。「冠婚葬祭費」「医療費」「住宅ローン」なども目立ちました。家計のやりくりに四苦八苦した末にカードローンでお金を借りるという実情が浮かびます。

 重大なのは、銀行カードローンの拡大と合わせ、自己破産が増加していることです。サラ金被害が社会問題になり、国民の批判の高まりのなか、貸金業法の改正(06年)などを経て多重債務者数も自己破産も減少していました。ところが16年、自己破産の申請件数は6万4637件へ13年ぶりに増加に転じ、現在も増加傾向です。

 銀行カードローン金利は4〜14・5%などですが、利用が多いとみられる200万円以下の金利は約10〜14%に設定されています。生活苦でお金を借りる人たちにとって返済は容易ではありません。借金を返すためにまた借金する多重債務に陥り、自己破産にいたる危険はあまりに明白です。日本弁護士連合会の調査では、年収356万円の人が銀行から433万円借り自己破産したなど、収入に見合わない過剰貸し付けによる深刻な事例がいくつもありました。

 サラ金については改正貸金業法で、個人への貸し付けは年収の3分の1を上限とする「総量規制」が導入されました。しかし銀行カードローンは規制の対象外となっているなど“野放し”状態です。

 安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の柱の一つ「異次元の金融緩和」により、銀行は破格の低金利で資金を調達できます。住宅ローン金利が下がるもと、金利十数%のカードローンは、銀行にとって「うまみのある商売」にほかなりません。格差と貧困を広げる「アベノミクス」の下で生活苦にあえぐ人たちに、高金利でお金を貸し出しもうけの手段にする―。まともな金融の姿とは無縁です。

厳しい規制待ったなし

 日弁連をはじめとする法曹、市民団体の声と運動、日本共産党の大門実紀史参院議員の国会での追及などにより、業界は一定の自主規制を打ち出し、金融庁も対策を検討し始めました。法改正も視野に入れた、厳しい規制措置をとることが必要です。生活に困ったときに低利で借りられる公的な融資の仕組みづくりと合わせ、多重債務問題を再燃させないため、政府は責任と役割を果たすべきです。


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