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2017年8月29日(火)

主張

「民泊新法」

「違法」放置せず対策強化こそ

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 住宅やマンションの居室を有料で宿泊サービスに提供する「民泊」を事業として認める「民泊新法」(住宅宿泊事業法)が6月の国会で成立し、関連企業の動きが各地で強まる中で、地域住民などの不安と懸念が広がっています。

悲鳴のような苦情相次ぎ

 安全や衛生などの確保を定めた旅館業法の許可がないままの「違法民泊」は、これまでも各地で近隣トラブルなどが問題になってきました。今度の民泊新法は、届け出さえすれば営業を認めるというもので、違法民泊を事実上、合法化し野放しにするものです。

 新法には、提供日数を年180日泊とすること、地域の実情によって条例で宿泊数を縮減できること、知事への届け出の義務付け、家主不在の民泊は管理業者に委託することなどを盛り込みました。しかし、発生しているさまざまな問題の解消にはつながりません。

 違法な民泊は、深夜の騒音、ごみ出しルール・マナー違反、マンションのオートロック機能が意味をなさない実態などを引き起こしています。京都市の「民泊通報・相談窓口」には「住民の悲鳴のような苦情が押し寄せ、一自治体では対応できない状態」(同市の国への要望)です。安心して暮らせるまちづくりのために、違法民泊を指導し取り締まるべきだとの声は大きくなるばかりです。

 厚生労働省の民泊実態調査では、調査件数1万5127件中、半数以上の7998件が「所在地を特定できず」、「営業許可」ありは2505件で、4624件は無許可でした。大都市では旅館業法の許可を受けている民泊はわずか1・8%にすぎません。

 日本共産党は国会審議で「違法物件が犯罪の温床となる」と追及しました。6月に東京で民泊を悪用した覚せい剤密輸事件、7月に民泊をインターネットで予約した外国人女性旅行者への性的暴行事件が起きました。危険が現実のものとなっていることは重大です。

 分譲マンションで民泊が増加している問題への対応として国土交通省はマンション管理規約の変更などで「民泊禁止」を決めてほしいと、「標準管理規約」改定作業を進めていますが、多くの管理組合では今年度総会はすでに終了しており、民泊新法施行(来年6月まで)前の開催は困難と、組合から戸惑いの声が相次いでいます。

 新法施行を前に、民泊仲介業者、不動産業者などがいっせいに「新たなビジネスチャンス」として動きだしています。インターネットサービスを展開するIT企業が仲介サイトの新設を発表、大手金融機関も民泊支援を打ち出し、家電メーカーも「民泊リフォーム事業」に乗り出しています。「民泊ありき」の安倍晋三政権の推進姿勢は、トラブルを多発させるだけです。

実態把握と取り締まりを

 緊急に必要なのは、民泊の実態を把握するとともに、悪質な業者を厳しく取り締まることです。また旅行業法に違反している仲介業者も厳格に取り締まるとともに、違法物件については仲介業者のサイトから取り消すように指導することです。関係省庁は「参入障壁になる」などという消極的な姿勢をただちにあらためるべきです。

 違法民泊を横行させることは、「住んでよし、訪れてよし」を理念にした観光立国推進基本法にも反していることは明らかです。


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