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2017年8月11日(金)

主張

「日報」閉会中審査

隠蔽の上に隠蔽を重ねるのか

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 南スーダンPKO(国連平和維持活動)に派兵された陸上自衛隊部隊の日報隠(いん)蔽(ぺい)問題をめぐり、衆院安全保障委員会と参院外交防衛委員会で国会閉会中の審査が行われました。防衛省防衛監察本部が特別防衛監察の結果を公表したのを受けたもので、最大の焦点は稲田朋美元防衛相の日報隠蔽への関与疑惑の解明でした。ところが、自民・公明の与党は、稲田氏や安倍晋三首相、当時の防衛省・自衛隊幹部らの出席をかたくなに拒否しました。日報隠蔽に無反省な上、真相の隠蔽まで図ろうとする安倍政権の姿勢は許されません。

刑法にも触れる大問題

 日報問題をめぐる特別防衛監察の結果で明らかになったことは次のような事実です。▽昨年7月の情報公開請求に対し、行政文書としての日報の存在を確認しつつ、陸自幹部の指示で意図的に開示しなかった▽昨年10月の情報公開請求に対しても、存在する日報を「既に破棄」したとして開示しなかった▽昨年12月には、日報は存在しないとした対応に実態を合わせようと、陸自幹部の指示で陸自指揮システム内の日報データを廃棄した▽今年2月にも陸自内に残っていた日報を廃棄した―。まさに組織的な隠蔽です。

 日報は、昨年7月の南スーダンでの武力紛争を「戦闘」と明記し、「停戦合意」など陸自派兵の前提である「PKO参加5原則」の崩壊を示していました。安倍政権は当時、陸自派兵を継続し、安保法制(戦争法)に基づいて武器使用が可能な「駆け付け警護」の新任務付与を検討していました。日本共産党の井上哲士議員が参院外交防衛委で追及したように、日報隠蔽に、派兵継続や「駆け付け警護」の任務付与の障害になる、南スーダンでの「戦闘」の実態を隠す狙いがあったことは明白です。ところが、特別防衛監察は日報隠蔽の背景には一切触れていません。

 特別防衛監察は、日報の不開示や廃棄を情報公開法と自衛隊法に違反する「不適切な対応」としています。日本共産党の笠井亮議員は衆院安保委で、行政文書である日報(電子データを含む)を不当に意図して廃棄したことは、刑法が規定する「公用文書等毀(き)棄(き)罪」(懲役3月から7年以内)に該当する可能性を指摘しました。罰則のない情報公開法や自衛隊法の違反にとどまらない重大問題です。

 稲田氏が日報隠蔽に関与した疑惑の解明はいよいよ重要です。

 疑惑究明の鍵となっているのは、2月13日と15日の稲田氏と防衛省・自衛隊幹部らとの会議です。稲田氏が13日の会議で陸自の日報データ保管の報告を受け、15日に非公表にする方針を了承したという証言が複数あるとされます。

 特別防衛監察は、文書での日報保管の報告や非公表方針了承の事実を否定しつつ、「データの存在について何らかの発言があった可能性は否定できない」としています。ところが、小野寺五典防衛相は両会議で誰がどんな発言をしたのかについて具体的な証言を明らかにすることを拒否しました。

稲田氏らの証人喚問を

 安倍政権は、特別防衛監察と今回の閉会中審査で幕引きを図ろうとしていますが、真相解明にはほど遠いのが実態です。自衛隊最高指揮官である首相の出席や稲田氏はじめ当時の防衛省・自衛隊関係者の証人喚問が不可欠です。


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