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2017年8月6日(日)

主張

広島・長崎被爆72年

被爆者の悲願、実現する政治に

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 1945年8月、アメリカ軍が広島(6日)、長崎(9日)に人類史上初めて原子爆弾を投下しました。爆発による強烈な熱線、爆風、人体を貫く放射線は、一瞬でまちを壊滅させ多くの人々の命を奪いました。あれから72年、今年の原爆投下の日はこの「悪魔の兵器」を初めて違法とする核兵器禁止条約が国連会議で採択された歴史的な出来事を受けて迎えます。

 自らのむごたらしい体験を世界で語り、なんとしても「核兵器のない世界を」と訴え続けてきた被爆者の悲願が国際政治を動かすなかで、安倍晋三政権の姿勢がいよいよ問われます。

人間を破壊する残虐兵器

 広島で14万人、長崎で7万4000人―。原爆によってその年のうちに死亡した人の人数です。きのこ雲の下、真っ黒に焦げて炭になったしかばね、全身が焼けただれずるむけになった体、内臓が飛び出した人、無数のガラス片が体に刺さり苦しむ人。水槽で抱き合ったまま亡くなった親子、水を求めて無数の遺体が浮かぶ川…。生き残った人も後障害にさいなまれ、子どもや孫への影響という不安を抱えて生き抜いてきました。

 広島・長崎の惨状ほど、人間を破壊する核兵器の残虐性、非人道性を伝えるものはありません。日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)をはじめとする被爆者は、すさまじい被爆の体験を世界に向かって長年発信してきました。

 この活動が、ついに多くの政府の代表者を動かし、人類史上初めての核兵器禁止条約の採択に結実したのです。禁止条約は前文で2カ所にわたり「ヒバクシャ」という言葉を明記し、被爆者の苦難と未来への役割について言及しました。「私たちは自らを救うとともに、私たちの体験をとおして人類の危機を救おうという決意を誓い合った」日本被団協の結成宣言(1956年)の精神が反映したことにほかなりません。「人類と核兵器は共存できない」「生きているうちに核兵器の廃絶を」。被爆者の叫びに各国政府は今こそこたえる時です。

 ところが、安倍政権の態度はあまりに情けないものです。アメリカなど核保有国に追随し国連会議をボイコットし、禁止条約の署名を拒み続けています。唯一の戦争被爆国の政府にもかかわらず、核兵器禁止の世界の流れに逆らう姿勢は失望と批判を集めています。

 日本政府はこの立場を抜本的にあらため、禁止条約への参加を真剣に検討すべきです。核兵器禁止条約にサインし、核兵器廃絶の先頭に立つ政府を被爆国・日本でつくることが痛切に求められます。

被爆者援護で政権冷たく

 被爆者援護での日本政府の対応も冷たく、被爆者援護規定を盛り込んだ核兵器禁止条約との落差は大きすぎます。原爆症新認定基準でも被爆者健康手帳の所持者約16万4600人のうち原爆症に認定されたのは約8100人、5%未満です。実態にあわない線引きを使い、被爆者が医療を受けるための援助を切り捨てることは許されません。日本被団協はすべての被爆者に被爆者手当を支給した上で、病気や障害の程度に応じた手当加算などを提言しています。国は原爆被害への国家補償に踏み切るべきです。被爆者の平均年齢は81歳を超えています。時間は残されていません。


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