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2017年7月25日(火)

安倍首相の危険なねらい

「残業代ゼロ」法案修正「政労使合意」の動き

反対抑え込み早期成立狙う

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 「残業代ゼロ」法案(労働基準法改定案)について安倍晋三首相は、連合の要請を受けて法案を修正することを表明し、連合、経団連と「政労使合意」を結ぼうと呼びかけています。連合は政労使合意を結ぶのかどうかについて21日、中央執行委員会で議論しましたが、組織内の了承が得られず、議論を続けることになりました。安倍首相が「政労使合意」でねらうものは何なのか、見てみると―。(深山直人)


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法案成立に道筋

 同法案は、1日8時間・週40時間などの労働時間規制を撤廃する「高度プロフェッショナル制度」を導入することと、何時間働いても一定時間しか労働時間と認めない「裁量労働制」を営業職に拡大することが柱です。

 労働時間規制がなくなり、過労死するほど働かせた上、残業代を支払う必要もなくなるというのが本質です。

 そのため労働界も日本弁護士連合会も過労死で家族を亡くした遺族も「過労死促進・残業代ゼロ」だと批判。野党4党も労基法改正案の対案を提出し、厳しく反対してきました。これに押されて2年余、審議入りできていません。

 これが修正されれば「反対するわけにいかない」と連合の神津里季生会長は21日の記者会見で認めました。法案成立に道筋が大きく開かれることは明らかです。連合内から「長時間労働を助長する制度を容認する」(全国ユニオン声明)と反対の声が上がるのも当然のことです。

 安倍政権は、「残業代ゼロ」法案と、連合も合意した残業時間の上限規制の労基法改定案をセットで成立させる考えを示しているため、連合が修正を言い出した側面があります。

 神津氏は「反対の立場は変わらない」として、「連合の態度が誤解されないか政労使合意の内容を見極める必要がある」として判断は先送りしました。しかし、検討されている政労使合意案では「労働基準法等の改正の早期実現を期す」と明記されており、連合が賛成に転じることが前提になっています。

本質変わらない

 神津氏は「いまの法案がそのままの形で成立してしまうことは耐えられない。できる限りの是正をしないといけない」と修正を求める理由を説明します。

 連合が求める修正の柱は、法案で「健康確保措置」として企業に一つだけ実施を求めている三つの選択肢―(1)104日の休日(2)労働時間の上限設定(3)次の勤務までの休息時間確保―のうち、「104日の休日」付与を義務付けることです。

 しかし、104日の休日とは、週休2日になっても、あとの5日は祝日も盆も正月も関係なく24時間働かせることができることに変わりありません。大企業は現在、週休2日に加えて年休や公休など140日程度休みがありますが、これよりも少ないものです。

 これでは「健康確保措置が極めてぜい弱」(神津氏)と指摘する現状は変わりません。

 裁量労働制の拡大についても「商品販売のみを事業内容とする労働者は対象外とする」との修正を求めていますが、これも政府が説明してきたこととほとんど変わりません。

 損保ジャパン日本興亜では、すでに一般の営業職にまで脱法的に導入しています。あいまいな規定では歯止めになりません。

 民進党の大串博志政調会長は20日、神津会長も同席したBS放送の番組で、「本質が変わらない限り、反対の態度は変わらない」と改めて表明しています。

「敵に塩」を送る

 連合の修正要請について安倍首相は「残業代ゼロ法案といったレッテル貼りの批判に終始すれば、中身のある議論が行えないと考えていたが、連合の提案は建設的なものだ」と歓迎しています。

 安倍政権は、「残業代ゼロ」法案の行き詰まりに加えて、加計学園疑惑など国政の私物化と憲法破壊の政治に対する国民の批判を浴びて都議選でも惨敗、支持率急落に追い込まれています。こうしたなかで修正を求めることは「敵に塩」を送ることにならないのか。

 神津氏は、「政局のために労働法制をやるわけではない」と釈明していますが、「導入阻止」を実現しようとすれば、さらに安倍政権を追い詰め、廃案に追い込むたたかいこそ必要になっています。

 全労連は、高度プロフェッショナル制も裁量労働制拡大も撤回する以外にないと強調し、改悪阻止・規制強化の「一致点での共闘をすべての労働者に呼びかける」と訴えています。


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