「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2017年7月19日(水)

きょうの潮流

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 〈蛇皮線の島/泡盛の島//詩の島/踊りの島/唐手の島〉と高らかに始まる「沖縄よどこへ行く」は、沖縄県那覇出身の詩人・山之口貘(やまのくちばく)(1903〜63年)の詩です▼果物が豊かに実り、赤い花々が炎のように咲き誇る島の美しさを追想しながら、中国と日本に翻弄(ほんろう)された歴史を振り返り、第2次世界大戦の惨禍とアメリカの軍事基地となった戦後を示唆して〈沖縄よ/傷はひどく深いときいているのだが/元気になって帰って来ることだ〉と祖国復帰を呼びかけます▼きょう7月19日は山之口貘の忌日です。享年59歳。19歳で沖縄を離れ上京。翌年、関東大震災に遭い帰郷しますが、破産した一家は離散。再び上京した22歳の時から住所不定の放浪生活が続きます。求人広告の「朝鮮・琉球おことわり」が普通の時代、暖房工事、ダルマ船での鉄クズ運搬、汲(く)み取り屋などの職を転々としました▼そんな生活の中でも決して詩を手放さず、後に〈書くということ、それは、生きるということの同義語〉〈詩という奴(やつ)は(略)生きろ生きろと耳うちをしてくる奴なのだ〉と記しています▼反戦の詩は鮮烈です。道路で死んだネズミが、次から次に車にのされてペラペラになってしまうさまを描いた「ねずみ」には、命を紙切れのように蹂躙(じゅうりん)する戦争への憤りが込められています▼以前、娘の山之口泉さんが詩人の遺(のこ)した言葉を紹介してくれました。「付和雷同が一番いけない。自分でものを考えなさいよ」―半世紀を超えて私たちに問いかけてきます。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって