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2017年6月2日(金)

裁判が自衛隊撤退させた

札幌地裁 派遣差し止め訴訟 原告、意義を強調

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(写真)黒塗りだらけながら、自衛隊の宿営地周辺での銃撃戦の様子も記述されている「日報」について報告集会で説明する原告、弁護団=1日、札幌市

 自衛官の息子を持つ北海道千歳市の母親が自衛隊の南スーダンPKO(国連平和維持活動)への派遣は憲法違反に当たるとして国に派遣差し止めと撤退を求めている訴訟の第2回口頭弁論が1日、札幌地裁(武藤貴明裁判長)で行われ、原告の平和子さんが意見陳述しました。

 平さんは、前回の弁論後に国が南スーダンPKOからの自衛隊の撤退表明、5月末の司令部要員を除く隊員の撤収が完了したことにふれ、「自衛隊の撤退は私たちの勝利、この裁判が子どもたちを撤退させた」と訴訟の意義を強調しました。

 そのうえで「黒塗りだらけの『日報』でも自衛隊の宿営地周辺で、連日銃撃戦が行われていたことがわかる。国がすべてを明らかにすることを望みたい」と訴えました。

 弁護団は、この日提出した準備書面に沿って陳述。国が公表した昨年6月から9月にかけての陸自第7師団(千歳市)による第10次派遣隊の「日報」を検証、国連司令部や自衛隊宿営地を中心に戦闘状況にあり、隊員が日常的に危険にさらされていたことを明らかにしたのはこの日の法廷が初めてです。

 7月16日には宿営地のあるジュバの「戦闘」(日報1644号)で軍関係者が600人も死亡、戦車や軍用ヘリの動きも報告されていることをあげ、「PKO5原則の一つ、停戦合意の崩壊は明らかであり、自衛隊の憲法9条違反、PKO協力法違反という本訴訟の核心的部分が浮き彫りになっている」と力説、内戦情勢、自衛隊の活動実態の審理を拒否する国の姿勢を厳しく批判しました。

解説

認否さえ拒否は許されぬ

「“撤退したからめでたし”では済まない。(内戦状態の)事実がどうであったのかを国が明らかにすることを望みます」。原告、平和子さんの意見陳述は、南スーダンPKOから自衛隊が撤退したもとでの訴訟の意義を簡潔に示しました。

 訴訟は、南スーダンPKOへの自衛隊派遣の違憲性を、「戦争のリアリティー」を争点に明らかにし、「法廷と世論の力で撤退を勝ちとる」(弁護団)としているからです。

 国側は準備書面で「被告の訴え、本件国賠償訴訟は不適法」として現地情勢や自衛隊の活動実態についての「認否」を全面的に拒否する姿勢を示しています。

 戦闘状況と自衛隊の活動内容を明らかにすれば、海外での武力行使を禁じる憲法に違反するという結論につながります。それは「国際貢献活動をシームレス(切れ目なく)に行う」という、地球の裏側でも米軍とともに武力行使する「集団的自衛権」を視野に入れた戦争法(安保関連法)の実施に重大な障害となるからです。

 この訴訟は、憲法9条に「自衛隊」明記を求める安倍政権、それを「ありがたい」と“援護射撃”した自衛隊統合幕僚長らの改憲策動を許さない国民的反撃の最前線を担うものです。

(山本眞直)


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