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2017年4月12日(水)

入院ベッド15.6万床削減 25年 全都道府県構想

「医療難民」拡大に懸念

安倍政権の医療抑制策

13年135万床から

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 2025年の医療提供体制を示す「地域医療構想」を全47都道府県がまとめ、入院ベッドを13年時点の約135万床から15万6千床(11・6%)も削減する計画になったことが11日までに本紙の集計で分かりました。首都圏などを除く41道府県でベッド数が減り、8県で削減率が3割を超えました。医療関係者から「医療難民が広がる」との声があがっています。

8県が3割以上減

 地域医療構想は、安倍政権が医療費削減を狙って各都道府県に策定させたもの。高齢化のピークとされる25年のベッド数を推計した結果、全国で119万799床となりました。13年時点と比べ、15万6118床が削減されることになります。

 内閣官房の専門調査会が15年に示した約15万〜20万床の削減計画と符合する結果です。どちらも国が示した推計方法で、診療データや人口推計を利用。もともと医療資源が少なくて通院しづらいなど、地方の実態を置き去りにし、人口減少などで現行のベッド数が“過剰”になる結果となっています。

 削減率が3割を超えたのは、鹿児島県の34・9%を筆頭に熊本、富山、宮崎、佐賀、徳島、山口、高知の8県で、2割台は19県。削減数が1万床以上は熊本、鹿児島、北海道の3道県でした。

 国は指針でベッドを機能ごとに区分し、比較的軽症の患者は「在宅医療等で対応する」と提起。各構想では、救急や集中治療を担う「高度急性期」と「急性期」を合わせると全都道府県で減る一方、在宅復帰に向けた「回復期」や在宅医療は全都道府県で増えました。医療費削減へ「施設から在宅へ」と患者を押し流していく狙いに沿ったものです。

 国は、推計結果はあくまで「参考値」と弁明。構想の多くも「削減目標ではない」(熊本県)、「直ちに減らすものではない」(石川県)などと明記していますが、さっそく病院の統廃合に踏み出す事例が生まれています。

命の保証どこに/重症化招く危険

図

 入院ベッド数を全国の1割にあたる15万6千床も削減する計画となった地域医療構想。

 自治体病院の割合が全国より高い青森県では、構想策定後の昨年10月に、弘前市内の弘前市立病院と国立病院機構弘前病院の統廃合が提案され、この6月にも合意書が市議会に提出される見通しです。現行の4分の1にあたる150床程度も削減する計画です。

 黒石市の黒石病院や大鰐(おおわに)町立大鰐病院などのベッド削減も示しています。

 「住民の、いざという時の命の保証が削られる」と語るのは、青森県民主医療機関連合会の那須稔事務局長。

 「統廃合で病院が遠くなり、通いづらくなる高齢者も生まれます。在宅医療で担えと言っても、深刻な医師の人手不足・高齢化のなかで簡単ではありません。むしろ、統廃合の話がすすむなかで弘前市立病院では医師の退職が相次いでいます。ベッド削減ありきの計画はやめるべきです」

 一方、厚労省は都道府県に対し、調整会議で10〜12月にも病院名をあげて「具体的な決定」をするよう提起。知事が公的医療機関に空床の削減命令ができる法改悪もしており、ベッド削減の狙いを鮮明にしています。

 全国団体からは「ベッドが現状で足りなくなることも考えられる」(全日本病院協会)と懸念が出ています。

 各県の構想では、「医療不足が診療活動、特に大幅な入院制限に影響を与えている」(滋賀県・湖北区域)などと、医師不足で空床にせざるをえない実態が示されています。

 「医師不足で、…日常的な疾病・外傷等に対処する機能が不足している地域がある」(秋田県)との指摘もあり、ベッド削減で医療がさらに遠のき、重症化につながる危険は明白です。医療体制の拡充こそ求められます。

(松田大地)


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