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2017年3月14日(火)

オスプレイ飛行 全国へ拡大

空中給油訓練 「壊滅的」な危険 山下氏追及

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 日本共産党の山下芳生副委員長は13日の参院予算委員会で、米軍が危険性を認めるオスプレイの訓練を沖縄と本土で展開することに中止を求めるとともに、「国民の命と安全よりも、沖縄県民の総意よりも、日米安保・軍事同盟を優先させる政治に未来はない」と訴えました。


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(写真)安倍晋三首相らに質問する山下芳生副委員長(右端)13日、参院予算委

米軍が危険性指摘のもと 安全宣言あまりに無責任

 「オスプレイの空中訓練は日本防衛のためではない。日本から遠く離れた他国に侵攻し、兵士や武器、物資を届ける強襲上陸作戦のための訓練だ」と指摘した山下氏。普天間基地(沖縄県宜野湾市)のMV22オスプレイ部隊が使用する訓練マニュアルのひとつで、乗組員が携帯する「チェックリスト」を示し、空中給油における「非常時」のページを示しました。

 オスプレイが空中給油機から連結ホースで給油を受ける中で、ホースが分離不能となった場合の事例を明記。両機から連結ホースを「強制分離」すれば構成品が破損し「異物破片」がプロペラにぶつかる、「ギロチン(切断)」をすればホースがプロペラに絡まるなど、いずれの対処も「壊滅的な影響」が生じるとして危険性を強調しています。

 山下氏は、「民間機にもチェックリストはあるが、緊急時の対応で『影響は壊滅的』などの結末を招くことは想定されず、全て前提は助かることになっている」との民間機パイロットの証言を紹介。「オスプレイの空中給油訓練がこうした事態を引き起こす危険性を認めるか」と迫りました。

 稲田朋美防衛相は、マニュアルの存在は知らないと繰り返す一方、「専門家らが過去の事故原因を独自に分析し、運用の安全性を確認している」と強弁。山下氏は「米軍側が危険性を指摘するもとで、よくも安全宣言できたものだ。あまりに無責任だ」とただしました。

 さらに山下氏は、民家上空でのオスプレイの夜間訓練や、住民が「(オスプレイの)パイロットと目が合うほどだ」と証言するほどの低空飛行訓練が常態化していることを指摘。宜野座村城原区では8日、米軍ヘリがつり下げるタイヤが落下する事故が発生するも、米側は「訓練は人道支援。災害救援任務のために不可欠」と正当化しています。

 稲田氏は「米側と連携し、地元に与える影響が最小にとどまるよう対応する」として危険な訓練を事実上容認しました。

 山下氏は「防衛省は、日米合同委員会で安全性を合意したといいながら、実態は極めて危険な訓練を繰り返してきた。こうした訓練はただちにやめるべきだ」と強調しました。

事故率高い機種が横田へ 地上数十メートルを飛ぶ恐れ

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(写真)米軍横田基地に配備されるCV22オスプレイの主な訓練区域

(拡大図はこちら)

 昨年9月の日米合同委員会はオスプレイの訓練を日本全国で実施し、経費も日本が負担すると合意。MV22オスプレイの米軍普天間基地への配備の際の米軍「環境レビュー」によると、訓練は全国に広がる6本のルートで実施されます。

 山下氏は、オスプレイの空中給油と低空飛行訓練をこのルートで実施するのかと追及。「詳細は承知していない」として言明を避ける政府に対し、「それでなぜ合意できたのか。いかに危険な訓練であるかは、沖縄での墜落事故が示している。事故が全国に拡大される危険がある」と批判しました。

 MV22オスプレイの10万時間あたりのクラスA(最も重大)の事故率は、沖縄に配備された2012年の1・93件から15年12月に3・69件と急上昇しています。

 山下氏は、クラスAの事故率がMV22の3・4倍と格段に高いCV22オスプレイが横田基地(東京都)に10機が配備され、地形追随装置を使用して地上数十メートルを飛行するなど、首都圏を中心にいっそう危険な訓練が行われる可能性を指摘しました。

 とりわけ重大なのは、CV22の訓練区域に、関東信越に広がる「ホテル地区」などが含まれていることです。防衛省は、同地区に含まれるのは53自治体になることを明らかにしました。

 山下氏は「静かな環境が壊れることは認められない」(長野県軽井沢町の藤巻進町長)、「住民の安心・安全を考えれば賛成できません」(同県信濃町の横川正知町長)など自治体の懸念の声を紹介。「このような声を無視して訓練を強行するのか」とただしました。

 安倍晋三首相は、「空中給油を行う場合は海上で行う」とし、危険な空中給油訓練を各地で行う可能性を示しました。山下氏は、「沖縄では海上で空中給油訓練をやっていたのに集落近くに墜落した」として、仮に海上に限っても安全の保証にならないことを告発しました。

いいかげんな「環境レビュー」

 山下氏は、CV22オスプレイの横田基地配備にあたり、米軍が作成した「環境レビュー」のいいかげんさを告発しました。

 山下氏は、CV22が訓練する地域は、「都市部もあれば自然豊かな地域もあり、野生生物への影響が心配されている」と指摘。2015年に米軍が作成した環境レビューには「鳥類は飛行場周辺における巣作りをやめる可能性が高く、他の場所に巣を作るだろう」と記載されています。

 山下氏は「鳥類はいなくなるけど、他で巣をつくるからいいんじゃないのと。こんな無責任な環境レビューはない」と批判しました。


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