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2017年2月14日(火)

主張

「日米経済対話」

アメリカ言いなり日本に危険

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 安倍晋三首相とトランプ米大統領の初の首脳会談は、軍事・安全保障面で日米同盟強化、日本の役割拡大を合意するとともに、経済面でもトランプ氏の「アメリカ第一」「国内雇用拡大」の要求に応える形で「日米経済対話」の設置を合意しました。注目された自動車の貿易問題や円安の為替操作については直接の議題にはならなかったとみられるものの、麻生太郎副総理とペンス副大統領による経済対話は、貿易や為替など広範な個別課題に広がる危険が濃厚です。かつての日米構造協議のように日本経済の仕組みにまでアメリカが口出しすることが懸念されます。

日米構造協議再来の懸念

 日米の経済関係は、1970年代から80年代にかけ、繊維、自動車、テレビなど電気製品、牛肉・オレンジ、円・ドルなどと個別の問題で「摩擦」が繰り返され、そのたびごとに当時の日本の政権がアメリカに譲歩して、日本経済と国民の暮らしにしわ寄せしてきました。まさに日米安保体制のもとでの屈辱の日米経済関係史です。

 そうした関係を一層拡大させたのが、89年から90年にかけて当時のブッシュ大統領(父)が宇野宗佑首相に求めて始めた日米構造協議です。個別の品目の「市場開放」や、「プラザ合意」(85年)による円高ドル安でもアメリカの対日赤字が減らないのは日本経済の仕組みに問題があると、アメリカのドルばらまきや競争力低下の責任を棚に上げて、日本の経済構造そのものの「改造」を迫ったのです。「内政干渉」そのものでした。

 協議の結果、アメリカの大手小売資本の日本進出の障害になるとした大規模小売店舗法(大店法)という日本の国内法の見直しや、日本の「内需拡大」と称した10年間で430兆円(その後630兆円に増額)にも上る「公共事業」費の増額という日本の予算編成をアメリカの意向で左右する合意まで結ばれました。日本各地での歯止めのない大手スーパーの進出が地域経済を衰退させ、不要不急の大型事業が乱開発を招き、財政を破綻させたのは明らかです。

 しかも日米構造協議はそれだけでは終わらず、94年からはアメリカが毎年「年次改革要望書」を日本に突き付け、貿易、金融、保険、雇用などあらゆる分野で口出しする仕組みが作られたのです。まさに主権国家とは呼べない「内政干渉」の極みです。「年次改革要望書」は民主党政権の時期にいったん中断しますが間もなく「日米経済調和対話」が始まり、自民党政権の復活とともに、安倍政権はオバマ大統領の要求を受け入れて環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加を合意、農産物などの貿易だけでなく、日本を丸ごと、アメリカと多国籍企業のルールに従わせようとしました。TPPはトランプ政権の「離脱」で発効の見込みがなくなりましたが、アメリカ言いなりは危険このうえありません。

対等・平等の経済関係を

 新設が決まった「日米経済対話」では、経済政策、インフラ投資、貿易・投資の三つの柱を扱うというだけでどこまで広がるかもわかりません。まさに2国間交渉で「アメリカ第一」を実現しようという意向に沿う恐れが重大です。

 トランプ政権の言いなりになるのではなく、日本と国民のために言うべきことを主張する、対等・平等の姿勢を貫くことが必要です。


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