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2017年1月29日(日)

貧困拡大隠す安倍首相

相対的貧困率の低下

実は中間層の疲弊

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 安倍晋三首相は「アベノミクス」のもとで広がる格差と貧困の実態を覆い隠すのに躍起となっています。そのために利用しているのが「貧困率の低下」です。


2万4000円も可処分所得が減少

図

 安倍首相があげるのは、2014年の「全国消費実態調査」(総務省)の結果です。5年前の調査結果では10・1%だった「相対的貧困率」が9・9%に減ったというのです。

 安倍首相は、この数字を根拠に、貧困層が豊かになったかのように言っていますが、それは違います。同調査で可処分所得が下から数えてちょうど10%に当たる人の可処分所得は、09年の134・7万円から14年の132・3万円へ、2万4000円も低下しています。

 貧困層の所得が減ったのに、なぜ貧困率が低下したのでしょうか? それは、貧困率の計算の基準となる「貧困線」が低下したからです。

 相対的貧困率は、全国民を可処分所得(世帯員数による調整後の値)の順に並べたときに、真ん中の人の値(中央値)の半分の額を「貧困線」として、その貧困線を下回る人の割合として計算されます。同調査では、中央値が09年には270・4万円でしたが、14年には263・3万円になり、7・1万円も下落しました。このため、貧困線も135・2万円から131・7万円に3・5万円下がってしまいました。

所得は減ったのに「貧困層」から外れ

 このため、先ほどあげた下から10%に当たる人の場合、09年には貧困層に計算されましたが、14年には貧困層ではないと計算されることになります。自身の所得は減っているにもかかわらず、「貧困層」からはずれてしまったのです(表参照)。

 貧困率が低下したのは、貧困層が豊かになったからではなく、むしろ、中間層の可処分所得が落ち込んだためで、「貧困」が低所得層だけでなく中間層にまで広がってきたことを示すものです。日本共産党第27回大会決定でも指摘している「中間層の疲弊」が進んだ結果ともいえます。貧困率の低下をもって「アベノミクスの成果」と言い張れば、貧困の実態に目を閉ざすことになります。


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