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2016年12月21日(水)

沖縄北部訓練場 上陸訓練が5倍化

「返還」引き換えの追加提供で

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 沖縄県名護市沖で夜間訓練中に墜落し大破した普天間基地の垂直離着陸機、MV22オスプレイ。そのオスプレイ部隊のため、北部訓練場の「(北側の)部分返還」と引き換えに、着陸帯の建設が強行されたうえ、新たに米軍に土地・水域も提供されます。追加提供によって海兵隊による海からの上陸訓練の日数が、返還前に比べ最大で約5倍に増加可能となっていることが本紙の取材で分かりました。「負担軽減」を口実にした際限のない危険と隣り合わせの基地機能強化に県民の反発は必至です。(山本眞直)


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 北部訓練場の「部分返還」を合意したSACO(沖縄に関する特別行動委員会)最終報告(1996年12月2日)は、「北部訓練場の(北側の)過半を返還し、残余の部分から海への出入りを確保するため、土地(約38ヘクタール)及び水域(約121ヘクタール)を提供する」と記述しています。

 これは「海への出入りの土地と水域」がなく、北部訓練場では不可能だった上陸訓練を可能にする“仕掛け”です。着陸帯から海へつながる土地と水域(宇嘉川河口沖)の提供を確認した98年12月17日の日米合同委員会は、提供の目的について「上陸訓練のため」と特定しています。

 そのために用意したのが北部訓練場に隣接する国頭村の安波訓練場(約480ヘクタール)と安波ダム下流の安波川河口沖に提供されている訓練水域(約7895ヘクタール)のSACOでの「返還」合意です。

 米軍は、この場所でCH46中型ヘリなどを使用した上陸作戦の訓練を実施してきました。今後は、訓練にオスプレイが使用されることになります。

 防衛省は本紙の取材に新たに提供された「土地」の使用制限について「定められていない」と答えています。

 安波訓練場の使用制限は地位協定2条4項(b)に基づき「年間25日」しか使えません。

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(写真)北部訓練場の「過半の返還」で米軍が新たに確保した上陸訓練のための宇嘉川河口につながる土地=国頭村安波

 一方、米軍が新たに確保した「土地」の使用制限は、地位協定2条1項(a)の米軍専用区域により「使用制限は定められていない」ため、米軍の必要に応じて使用できます。

 水域と追加された「土地」での上陸訓練は、地位協定で提供水域の使用制限「年間120日を超えない範囲」となっています。つまり、「年間25日」しか使えない安波訓練場と単純比較すれば、訓練日数は安波訓練場の4・8倍、約5倍実施が可能になります。

 北部訓練場(ゴンザルベス基地)のジェームス・ドーロン司令官は11月21日放映の米軍放送で、「彼(日本政府)らが建設している(上陸訓練のための)道路は、私たちが過去できなかった訓練場をよりよいものにするだろう」と述べました。

 米海兵隊が「戦略展望2025」で描いた「使えない土地を返す代わりに利用可能な訓練場を新たに開発」の一端が姿を現したのです。


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