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2016年11月10日(木)

主張

トランプ氏当選

格差と既存政治への強い憤り

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 米共和党のドナルド・トランプ氏が、大方の予想を覆して、民主党のヒラリー・クリントン前国務長官を破り、接戦のアメリカ大統領選を制しました。既存政治への米国民の強い憤りと不満の強さを表したものです。この声に、次期大統領がどのようにこたえていくのか、注目されます。

二大政党への痛烈な批判

 予備選を含めた年初からの選挙戦は「中間層の反乱」と評されました。生活と国の将来に不安を募らせる多くの国民が、格差の拡大、地方経済の深刻な疲弊、テロと戦争の悪循環など、現実に対する不満と怒りの声を上げました。既存の二大政党に強いノーのメッセージを発したことも特徴です。

 共和党では“トランプ旋風”自体が、従来の共和党の枠を突き崩す出来事でした。トランプ氏は、党内で政治経歴を積み上げてきた人物ではなく、いわば「過激発言」で関心を集めてきた実業家です。支持層には白人層が多く、所得があまり高くない層、大都市部以外に住んでいる層などが多いと指摘されます。

 トランプ氏は、従来の米国政治とそれをすすめてきた政治家を激しく攻撃し、クリントン氏を、深刻な現状をつくりだした張本人だと非難しました。海外への雇用移転を批判して環太平洋連携協定(TPP)に反対したり、ヘッジファンドの税逃れを批判したりするポーズも示しました。自身の政策を「アメリカ第一」と表現し、支持を集めました。

 民主党の側でも、「社会主義」の名のもとに格差是正を強く求めたバーニー・サンダース上院議員が、多くの「ミレニアル世代」(30歳以下の若者たち)の支持をひきつけ、旋風を引き起こしました。ウォール街との緊密な関係を指摘されるクリントン陣営の政策にも影響を与え、富裕層優遇税制の是正、学費負担軽減など、経済の公正な運営のために政府の役割を求める方向が、同党選挙政策の基調となりました。もともと無所属議員としての経歴の長いサンダース氏の健闘も、同党への有権者の強い批判が背景となりました。

 肝心の政策論戦は、「歴史的な醜悪さ」(ニューヨーク・タイムズ紙)と形容されたように、双方の非難合戦の様相を呈し、深まりませんでした。移民やイスラム教徒を敵視し、女性や障害者など少数派をあざけるトランプ氏の選挙戦術は、米社会の深刻な分断をあおることにもなり、批判を受けています。米国社会の深刻な分断を克服するために、次期大統領としてどのような姿勢を示すかが問われます。

 オバマ政権8年後の米国のかじ取りを次期大統領がどう構想するのかも、国際的な関心事です。しかし、トランプ氏の外交政策の具体的内容は不明のままです。

外交戦略をどう具体化

 トランプ氏は、選挙の論戦で、イラク侵攻はもともとすべきではなかったとして、同戦争を支持したクリントン氏を批判しましたが、過激組織IS対策については軍事対応の大幅強化を主張しています。同盟国への財政負担の大幅拡大を求めているのも特徴です。一時は日本や韓国の核武装を容認する発言をし、物議をかもしました。

 来年1月20日の就任までの間、トランプ氏が外交戦略をどういう方向で、どう具体化していくのか、注目されます。


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