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2016年10月9日(日)

米 新型核兵器導入狙う 空中発射巡航ミサイル(LRSO)

巨額の開発費・冷戦時の発想・核戦争の危険増大

反対の声相次ぐ

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 オバマ米政権は「核兵器のない世界をめざす」とする一方、それが実現するまでの間は米国の「核抑止力」を維持する必要があるとして、むしろ核戦力の強化を図ろうとしています。同政権が現在、導入を狙っているのが長距離遠隔(LRSO)兵器、新型の空中発射巡航ミサイルです。推進派は、老朽化した核兵器を更新し、攻撃の“精度”も上げられると主張。しかし巨額の開発・調達費が掛かることなどから、議会でも反対の声があります。(山崎伸治)


 「米国の核抑止はわれわれの安全保障の基盤だ」―カーター米国防長官は9月26日、ノースダコタ州マイノット空軍基地での演説で強調しました。

 同基地には、核弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ミニットマン3」と戦略爆撃機B52が配備されています。カーター氏は同基地を皮切りに、28日までの3日間でニューメキシコ州のカートランド空軍基地、サンディア国立研究所、ロスアラモス国立研究所を訪問。いずれも核兵器の開発や「信頼性」の維持に携わる機関です。

 カーター氏は訪問先で、「もし今ある兵器を更新しないなら、さらに古くなるだけで、安全でも、信頼がおけるものでも、効果的なものでもなくなってしまう」と発言。核戦力の更新・維持の必要性を強調しました。

攻撃“精度”強調

 米国は、(1)戦略爆撃機に搭載する空中発射巡航ミサイル・核爆弾(2)地上発射のICBM(3)潜水艦発射の弾道ミサイル―を戦略核兵器の「三本柱」と位置付けています。いずれも米ソ冷戦時代の1950年代から配備が始まり、最新のものでも25年が経過。更新時期を迎えるか、ないしは過ぎています。

 現在、オバマ政権が導入を推進している長距離遠隔(LRSO)兵器は、爆撃機から発射する巡航ミサイル。現在主力のB52に代わり2025年から調達が始まるB21ステルス爆撃機への搭載をもくろんでいます。

 導入推進派は、敵のレーダーにとらえられないステルス爆撃機から発射するので、攻撃の“精度”は高まると強調。さらに爆撃機のパイロットが弾頭の威力を5〜150キロトンで調整可能なため、「大統領が独自に柔軟な選択を行える」(ケンドール米国防次官)と主張します。

費用数百億ドルに

 米空軍は7月、LRSOを1000基購入すると明らかにし、その費用を170億ドル(約1兆7630億円)と見積もりました。200億〜300億ドルになるという推計もあります。

 LRSOの導入には反対の声も強くあります。ペリー元国防長官は昨年10月、米紙ワシントン・ポストへの投稿で、爆撃機から巡航ミサイルを発射するのは冷戦時代の発想だと指摘。「数百億ドルも費やす合理的な理由はまったくない」と批判しました。

 民主党で大統領候補の指名を争ったサンダース上院議員や同党のウォーレン上院議員ら10氏は7月、オバマ氏宛てに書簡を送り、LRSOは「核戦争の危険を増大しかねない不要な能力」をもたらすとして、導入に反対を表明しました。


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