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2016年10月3日(月)

主張

介護給付の縮減

現場からの批判に耳を傾けよ

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 安倍晋三政権が進める介護保険改悪で、「軽度者」への生活援助や福祉用具貸与などの公的サービス利用の縮減や負担増を迫る動きに対して、介護現場で働く人たちから異論と批判が相次いでいます。政府が狙う改悪が実行されれば、必要な介護サービスから高齢者が締め出され、重症化が進行しかねないという危機感の表明です。介護する家族など担い手の負担がさらに重くなることに懸念と不安も広がります。安倍政権は、介護を専門的に担う最前線からの訴えをどう受け止めるのか。国民の声を無視した改悪は許されません。

専門性高い支援こそ必要

 安倍政権は2018年度の介護保険制度の大幅な改変に向け、今年末までに結論を出すため、厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会での議論を加速しています。

 大きな焦点の一つになっているのが、「軽度者」が利用する介護サービスを保険給付の対象から除外する問題です。要介護1、同2の人のホームヘルパーによる掃除、調理、買い物などの生活援助やデイサービスを保険給付の対象外にすることや、要介護2以下が使う車いすや手すりなどの福祉用具貸与を全額自己負担にすることが主な検討項目にされています。要介護2以下は要支援・要介護認定を受けた人たちの65%超です。これほどの人が保険給付をまともに受けられなくなることは深刻です。

 厚労省は生活援助を保険から外す口実に「知識、技術をそれほど有しない者でもできる」などといいますが、介護の実態とかけ離れた議論です。いち早く批判の声を上げた日本ホームヘルパー協会は「初期段階における専門性の高い生活援助サービスの提供こそ」が重要と強調します。利用者の気力の衰えの回復や交流不足を補い、体の状態の維持・改善、悪化の防止にもつながり「わずかな支援で、高齢者が自分らしく暮らす期間を長くすることができる」からです。

 「軽度者」の生活支援を保険給付から外し、専門的支援を受けることを困難にするやり方に道理はありません。専門職からの警告を正面から受け止めるべきです。

 福祉用具貸与の全額自己負担についても約22万人分の反対署名が厚労省に届けられました。運動を担う「福祉用具国民会議」は、福祉用具は、高齢者らが「普通の暮らし」を営むための必要不可欠な社会資源と訴え、福祉用具の利用制限につながる改悪を批判しています。167の地方議会でも、福祉用具貸与のサービス縮小と負担増に対し「介護の重度化を招く」「かえって保険給付の増大を招き、介護人材の不足に拍車をかける」などと反対・異論を表明する意見書が可決されています。民意に逆らう改悪議論は中止すべきです。

安心の仕組みへ共同広げ

 12年末に政権復帰した安倍政権の介護保険改悪は、歴代政権の中で突出しています。特別養護老人ホームの入所条件を要介護3以上に原則化したことは、“介護難民”を増大させています。すでに実施されている要支援の生活援助などの保険外しは、在宅の利用者と家族に負担を強いています。過去最大規模の介護報酬引き下げは事業者に経営困難を強いています。

 制度自体を危うくする安倍政権の介護破壊を許さず、安心の仕組みへの転換へ、幅広い共同のたたかいを広げることが急務です。


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