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2016年8月11日(木)

主張

新祝日「山の日」

人と山のかかわり考える機会

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 今年から11日が、新しい祝日「山の日」になりました。2014年5月に国民の祝日に関する法律が改正され、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」日として定められました。

 山の自然は国民共有の財産といえます。山の日制定を機に、山の持つ値打ちを改めて考えてみることが必要です。美しく豊かな自然を守り、次世代へ引き継ぐことは私たちの責務です。

古くから生活と密接な場

 日本は国土の7割を山が占める山国です。山は古くから日本人の生活や文化と密接に結びついた場でした。獣や魚、山菜やキノコ、薪、温泉は山がもたらしてくれる恵みです。山はまた、スポーツやレジャーの場であるとともに富士山や立山、白山のように信仰の対象になっているところもあります。登るだけでなく、山に接して豊かな自然を身近に感じようというのが山の日を設立した趣旨です。

 山の日は運動によって実現した祝日です。2010年4月に山岳5団体(日本山岳協会、日本勤労者山岳連盟、日本山岳会、日本ガイド協会、日本ヒマラヤン・アドベンチャー・トラスト)が中心になって、関係省庁や地方自治体、環境団体、観光業者、山小屋関係者らに働きかけてきました。

 13年に日本共産党も参加する超党派の制定議員連盟が発足し、同年11月には同議連と山岳団体、自治体首長らによる全国「山の日」制定協議会ができました。

 同協議会は、国民運動を起こして山の日をつくることを目指しました。短期間に話が進み、祝日が決まってしまっただけに、その意義を定着させるためにも、「全国山の日協議会」として存続させた組織の運動が期待されます。

 8月11日が山に関係する記念日だったわけではありません。山岳団体は、夏山シーズン前の6月第1日曜日を候補にしていました。山々の新緑が美しい季節であり、祝日がない月だからです。しかし、残雪の多い北国や標高の高い山域ではまだ登山シーズンには早いという声がありました。企業や学校への影響が少なく祝日のない月ということなどから、お盆休み前の11日に落ち着きました。

 今年は11日に長野県松本市の上高地で、第1回「山の日」記念全国大会を開き、制定の趣旨に対する国民の関心を高め、浸透を図るとともに、山と人とのかかわりを見つめ直す機会とします。

 山をめぐってはいま、さまざまな問題が起きています。登山の分野では、1年に3000人を超えて増え続ける山岳遭難を減らすことや、特定の人気山域に登山者が集中し、環境への負荷を高めていることが大きな課題になっています。山岳団体はこれらの課題を、まず登山者の間で合意できるルールをつくって解決していこうという運動に取り組み始めています。

環境を維持するために

 開発や過疎化も、山にかかわる問題です。南アルプスの地下をトンネルで貫くリニア中央新幹線のような、大規模に山の環境を破壊する計画が推し進められています。山里に住む人が少なくなれば、山は荒れます。国や自治体の政策づくりをはじめ、国民的なレベルでも、どのように山と付き合い、山岳自然環境を守っていくかを議論し、合意をつくっていくことが求められます。


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