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2016年8月7日(日)

禁止条約の交渉開始

一言も言及なし

被爆者の願いに背く首相

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 広島市で行われた6日の平和記念式典での安倍晋三首相のあいさつは、核兵器禁止条約を求める世界の機運を全く理解せず、被爆者の願いに背くものであるといえます。

 安倍首相は、4月のG7外相会合の「広島宣言」と、5月にオバマ米大統領が広島に訪れたことを引き合いに出し、「核兵器国と非核兵器国の双方に協力を求め、また、世界の指導者や若者に被爆の悲惨な実態に触れてもらうことにより、『核兵器のない世界』に向け、努力を積み重ねる」と表明しました。

核保有国に同調

 しかし、核保有国と非核保有国の「橋渡しをする」とした安倍政権の姿勢は、核保有国の立場に同調しているものにすぎません。

 核保有国の主張は、核兵器の廃絶については「ステップ・バイ・ステップ(段階的な前進)が唯一の方法」というものです。G7の「広島宣言」では、「核兵器のない世界」が「漸進的なアプローチをとることのみにより達成できる」と強調し、核兵器を禁止、廃絶するための条約=核兵器禁止条約の交渉開始については一言も言及がありませんでした。

 原爆投下から70年余りがたつにもかかわらず、世界には1万数千発の核兵器が現存し、その破壊力は、広島・長崎の2発の原爆の数万倍にも及びます。核保有国が主張する「段階的な前進」が「核兵器のない世界」へ歩めなかったことは、歴史が明白に証明しています。

 また安倍首相は、オバマ大統領の来日に触れて「核兵器を使用した唯一の国の大統領が、被爆の実相に触れ、被爆者の方々の前で、核兵器のない世界を追求する、そして、核を保有する国々に対して、その勇気を持とうと、力強く呼びかけました」と述べました。

日本の主体性を

 大切なのは、安倍首相が具体的に言及しなかった「勇気」というのはまさに、国連加盟国(193カ国)の7割を超える国が核兵器禁止を支持する現状を真正面からとらえ、唯一の戦争被爆国である日本が核兵器を禁止する法的措置を議論するテーブルにつき主体性を発揮することです。

 首相のこうしたあいさつは、日本政府のとるべき役割を理解していない、うわすべりな言葉として会場に響きました。

 さらに原爆投下の悲劇をうみ戦争の反省からつくられた日本国憲法、またその平和主義を順守するという姿勢や文言をあいさつ中に一言も出していないことにも注視すべきです。

 (吉本博美)


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