「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2016年8月4日(木)

国民だまし討ちで暴走加速

第3次安倍再改造内閣

露骨な改憲タカ派路線

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 3日に発足した第3次安倍再改造内閣。その布陣からは、参院選ではふれなかった明文改憲へと乗り出し、国民無視の暴走を加速させる狙いが見えます。

 内閣改造では、安倍晋三首相がめざすとした「任期中の改憲」に向け、露骨な改憲タカ派路線が示されました。

 麻生太郎副総理・財務相、菅義偉官房長官をはじめ、岸田文雄外相、塩崎恭久厚労相など改憲・右翼団体「日本会議国会議員懇談会」(日本会議議連)所属議員を主要閣僚として留任させました。違憲の「電波停止」発言で、放送局を威嚇した高市早苗総務相までも留任です。安倍内閣のもとで、憲法を無視・軽視する閣僚の発言が相次ぎましたが、参院選挙の改造でそれを改めるそぶりはみじんも見られません。

緊張の火種

 そのうえ、違憲の戦争法の推進役となる防衛相には、安倍首相の側近である稲田朋美・自民党前政調会長を新たに抜擢(ばってき)しました。稲田氏は「(憲法)9条2項をこのままにしておくことこそ立憲主義を空洞化する」(2月3日、衆院予算委員会)などと主張して、安倍首相に9条改憲を迫ってきました。また「日本独自の核保有を、単なる議論や精神論ではなく国家戦略として検討すべき」(『正論』2011年3月号)とまでいってきた人物です。「“東京裁判史観”からの脱却」などといって侵略戦争を美化し、「祖国のために命を捧(ささ)げる」ことを当然視する稲田氏の起用は、アジア諸国との新たな緊張の火種にもなりかねません。露骨な改憲タカ派路線を示した閣僚人事は、まさに戦争法の具体化・改憲に向けた安倍首相の、なりふり構わぬ暴走加速姿勢を裏付けています。

 こうした改憲に向けた布陣は、自民党の新役員人事にも明確にあらわれています。

 留任となった高村正彦副総裁は「憲法学者はどうしても憲法9条2項の字面に拘泥(こうでい)する」と公言し、秋の臨時国会で改憲項目について検討に入るべきだとの考えを強調し続けています。

 さらに、改憲議論を進めるうえで欠かせない公明党との連携のために、同党とのパイプが太い二階俊博・前総務会長が新たに幹事長に起用されました。二階氏は、任期中の改憲を目指す安倍首相の意向を念頭に、総裁任期の延長まで容認。3日の就任会見では、改憲に向け、「野党とできるだけ時間をかけて話し合う姿勢が大事だ」と表明しています。

 政調会長に起用された茂木敏充・前選対委員長も、3日の就任会見で「衆参の憲法審査会で、まず与野党が同じテーブルについて議論することが何より必要だ」と述べています。

深刻な矛盾

 しかし、安倍首相がいくら改憲論議を進める姿勢を強めても、国民の多くは改憲を望んでいません。参院選後の世論調査(「共同」11〜12日実施)では、安倍首相の下での改憲に「反対」が48・9%で「賛成」35・8%を上回っています。

 安倍首相は、参院選で「憲法隠し」の姿勢を押し通したまま多数の議席を獲得しました。国会の「数の力」を背景に改憲議論を進めることなど許されません。選挙が終わった途端、「だまし討ち」のように改憲を打ち出すやり方は国民との間に深刻な矛盾をもたらすことになります。

ばらまき・社会保障改悪・沖縄基地強行

 参院選で安倍首相は行き詰まっているアベノミクスについて「道半ば」だとごまかしながら、「加速していく」と述べてきました。

 改造内閣では、財務相や経済再生担当相、国土交通相らを留任させ、大企業支援のアベノミクス継続の姿勢を示しました。

 2日に打ち出した経済対策では、リニア新幹線、大型港湾整備など大企業が潤う大型プロジェクトを「未来への投資」といって、財政投融資債や建設国債の発行で、借金までしてばらまく計画です。

 自民党幹事長になった二階俊博氏は、国土強靱化調査会長として、「防災・減災」の名で大型公共事業を求めてきました。古い自民党政治が復権しようとしています。

改悪が次々

 一方で国民には、一回限りの低所得者向け給付金や、保育士・介護職員のわずかな給与引き上げなどにとどめています。新たに「働き方改革」担当を設けましたが、国会に提出しているのは長時間労働を野放しにする「残業代ゼロ法案」であり、名ばかりです。これでは「民需主導の持続的な経済成長」(経済対策の基本的考え方)など実現できません。

 さらに経済対策では「社会保障の構造改革を加速化する」として医療、介護、年金など社会保障の連続的改悪を掲げています。「介護離職ゼロ」といいながら、要支援者に続いて要介護1・2まで保険給付から締め出すなど、「国家的詐欺」と批判される大改悪です。

 秋の臨時国会では年金削減法案の審議が予定されており、年金改悪を主導してきた塩崎恭久厚労相を留任させたのもそのためです。

 選挙が終われば信任を得たとばかりに矢継ぎ早に改悪を打ち出す「だまし討ち」は許されません。

ごり押しも

 参院選では、東北、福島、沖縄という安倍暴走政治の矛盾が集中的に噴き出している1人区で野党の統一候補が勝利。安倍首相は一言もふれませんでしたが、環太平洋連携協定(TPP)、原発問題、米軍新基地建設が争点となり国民の厳しい審判が下されました。沖縄では、衆参通じて自民党の国会議員がついにゼロになりました。

 にもかかわらず、辺野古基地建設を「唯一の解決策」と言い張る菅義偉官房長官を引き続き「沖縄基地負担軽減担当」に据えて、新基地建設をごり押ししようとしています。

 新基地建設で国は悪あがきで泥沼の裁判闘争に踏み込むなど新基地ノーの翁長県政と県民世論に追い詰められています。ごり押しすればするほど国民との矛盾を深めざるをえません。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって