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2016年7月31日(日)

南アフリカ 来月3日に地方選

住民の不満 ANCに逆風

高失業率・サービス劣化・腐敗

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 南アフリカ共和国で来月3日、1994年のアパルトヘイト(人種隔離)政策廃止後、5回目の地方選挙が行われます。高い失業率や自治体のサービスへの不満、大統領の腐敗への反発から、大多数の自治体で与党となっているアフリカ民族会議(ANC)が逆風にさらされています。(伊藤寿庸)


 ロイター通信によると、南アの失業率は現在約25%ですが、黒人だけをとると30%、20〜24歳の黒人青年の失業率は48%を超えています。白人失業率は7%です。

 また昨年の協調統治省の調査では、地方自治体の3分の1が「機能不全」とされています。ごみ収集がストップし、上水道が止まり、財政危機に陥る自治体では、住民の激しい抗議行動も発生してきました。

 ANCは南ア共産党(SACP)、南ア労働組合会議(COSATU)との3者連合で選挙に臨み、解放闘争の伝統と新生南アフリカで国民の生活が向上してきた大きな流れを強調しています。

 電力が届く世帯は2001年の69・7%から14年の86%に、上水道は同じ時期に61・3%から90%に増加したことなどを挙げ、住民サービスの引き続く改善を訴えています。自治体で進むサービスの外注化の中止、地元経済振興と雇用創出も訴えています。

 最大野党の民主同盟(DA)は、今回の選挙はアパルトヘイト廃止以来「最も重要な選挙」だと強調。与党の下での「腐敗、公約違反、サービス劣化、高失業率」を批判しています。

 同党は、伝統的に白人を支持基盤とする中道右派政党ですが、昨年5月、黒人のムシ・マイマネ氏を党首に選び、黒人層の不満を取り込もうとしています。

 DAは現在、ケープタウンなどで与党。世論調査ではヨハネスブルク、首都プレトリアを含むツワネ、ネルソン・マンデラ・ベイの大都市圏でも与党ANCを上回る支持率を示しており、議席を伸ばす勢いです。

 ANCは、ズマ大統領(74)が私邸の改築に多額の税金を支出したスキャンダルへの批判で、伝統的な支持を失いつつあります。

 同大統領は東部ヌカンドラの私邸の改築に国庫から1600万ドル(約16億3000万円)を支出。14年には、警備関連以外の施設(プールや野外劇場など)の建設費は、国庫に返納すべきだとの報告書が出されました。今年3月末には憲法裁判所が、ズマ氏が返納に応じていないのは「憲法違反」との判決を出しました。

 政府転覆を図ったとして1960年代にマンデラ氏とともに終身刑を受けたアハメド・カスラダ氏(86)は、この判決を受けてズマ氏に辞任を呼びかけました。

 またANC指導部が6月、ツワネ市長候補を発表した際、この人選に不満を持つ地元組織のメンバーなどが暴動をおこし、内部分裂を露呈。こういった動きも選挙結果に影響するとみられます。


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