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2016年7月23日(土)

米大統領選共和党大会 トランプ氏指名受諾演説

「米国第一」訴え

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 【クリーブランド(米オハイオ州)=洞口昇幸】11月の米大統領選に向けて野党・共和党の候補に指名された不動産王のドナルド・トランプ氏は21日、当地での同党全国大会で指名受諾演説をしました。従来の排外的、差別的な主張を繰り返し、「米国を再び強く誇れる安全で偉大な国にする」と「米国第一主義」を訴えました。


TPP署名しない

 同氏は、「不法移民を止めるために(メキシコ国境に)素晴らしい壁を築く」と発言。イスラム教徒が多く住む国々を念頭に、「テロリズムの危険にさらされた国からの米入国を直ちに一時停止しなければならない」と述べ、国内外から排外・差別主義的だと強く非難されている公約をあらためて示しました。

 環太平洋連携協定(TPP)については、「製造業を破壊する」と指摘。「米労働者を傷つけるどんな貿易協定にも決して署名しない」と語りました。経済政策では道路や橋、鉄道の建設などによる雇用創出、中間層や企業への減税と税制簡素化を掲げました。

 日本など同盟国を念頭に、「われわれが防衛する国々には応分の対価を払うことを求める」と述べました。

 同氏は、米国民の間で不安が高まっている国内外で相次ぐテロ事件や警官を射殺する事件を強調して語り、自分が「法と秩序を取り戻す」候補だと訴えました。

 11月の大統領選挙に向けては党の結束を呼び掛け、民主党から指名を受ける見込みのヒラリー・クリントン前国務長官に対し、「(同氏の外交を通じて)世界ははるかに危険になった」「大企業の操り人形だ」などと批判しました。

 4日間の日程で行われた党全国大会は同日に閉幕。初日や2日目には、トランプ氏に反対する一部の代議員が指名に抗議し、3日目は同氏と予備選を競ったテッド・クルーズ上院議員が演説で支持を表明しないなど、党内の亀裂をうかがわせました。

輝くネオンと廃虚ビル

会場取り巻く衰退・貧困

打開策示さず大会閉幕

 米共和党大会が開かれた中西部オハイオ州クリーブランドは工業都市として栄えた町です。いま市内を歩いて目に付くのは、赤茶色のレンガが崩れ落ちた空き家や、ベニヤ板で入り口が封鎖された廃虚ビル。赤や青のネオンが輝き、バンド演奏でにぎわう党大会会場とは対照的な静けさが広がります。

 同州では1970年ころから、賃金が低く課税負担も少ない海外へ工場を移転する動きが強まり、雇用が激減。州当局が今年2月に出した報告書によると、70年代に約10%だった貧困層の割合は上がり続け、2008年の世界経済危機以降は約16%で高止まりしています。似たような衰退は米国各地でみられます。

 「30年前と比べて経済状況は実に悪い。外国からも尊敬されない国になった。トランプ氏なら大きく変えてくれるはずだ」。ミズーリ州の代議員(60)はこう語ります。大統領候補に指名されたトランプ氏のスローガン「米国を再び偉大にする」が共感を得る背景には、貧困や格差、失業などの打開を国民が切望していることがあります。

 しかし大会が打開策を示したわけではありません。採択した政策綱領は「政府は自由市場経済を規制しすぎている」として一層の規制緩和を主張。経済危機の再発防止へ導入された金融機関に対する監視強化の法律は経済成長を阻害すると批判しました。

 イラクとアフガニスタンの戦争による軍事費増が原因となった歳出の自動削減もやめて、軍事費を増やす方針です。

 米国ではこの間、白人警官による黒人殺害が相次ぎ、人種差別に基づく社会の分断が問題になっています。大会では黒人容疑者を殺害した警官が無罪とされたことを称賛する発言がありました。トランプ氏の人種差別発言も全く問題にされず、「大会は人種間の橋渡しに失敗」(米テレビ)と報じられました。

 米紙によると代議員約2500人のうち黒人は約20人。米社会の多様さと異なり、過去と比べても白人が圧倒する大会になりました。共和党関係者は市内の討論会でこの点を追及され、「黒人や中南米系を受け入れる努力が不十分だ」と述べました。

(クリーブランド=島田峰隆)


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