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2016年7月18日(月)

憲法を守る知事か壊す知事か

7・31 都知事選

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  31日投票の東京都知事選挙は、参院選の結果、衆参両院で改憲勢力が3分の2を占めるとともに、憲法違反の安保法制=戦争法の発動の危険も迫るなかでの首都決戦です。首都東京で、憲法を守り生かす知事を誕生させるのか、それとも安倍首相と一体となって憲法を壊す知事を許すのかが、大きく問われます。


写真

(写真)都知事選告示の第一声で決意表明する鳥越俊太郎都知事候補=14日、東京・新宿駅

立憲主義破壊ただす力

 いち早く名乗りを上げた小池百合子氏は、自民党内で一貫して「自主憲法制定」を主張してきた改憲タカ派。一方、増田寛也元総務相は、戦争法で立憲主義を破壊し、さらに明文改憲を企てる自民・公明両党の推薦を受ける候補です。

 これに対し、「(参院選の結果)憲法改正が射程に入った。時代の流れが変わり始めている。元に戻す力になりたい」と述べて立候補表明(12日)したのが、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏。日本記者クラブでの共同記者会見(13日)では、安倍晋三首相の改憲姿勢をあげ「戦後最悪の内閣だ」と指摘。自民党改憲案を厳しく批判しました。

 市民の中からも、都知事選挙の争点は憲法問題だという声が上がっています。

 「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)は16日、「野党統一候補・鳥越俊太郎氏と市民がつくる都政の実現へ」との声明を発表。「衆参両院において改憲勢力が3分の2以上の議席を獲得している現在、立憲主義と平和主義と民主主義を回復し、個人の尊厳を擁護する政治を首都・東京において実現することは、日本の将来において決定的に重要です」と述べています。

 ところが小池氏は「憲法問題は自民党で議論されている流れでいい」(13日の共同会見)と自民党改憲案をほめ、増田氏は、「今問われているのは知事選、憲法の問題をそこに持ち込むのはどうか」(同)と争点化を避ける姿勢です。

 しかし、「都政の原点は、都民の命を守る、暮らしと命を守るというところにあります。この点で憲法問題は大争点」(日本共産党の志位和夫委員長、14日の会見)です。

 そもそも日本国憲法の定める「地方自治」の原点は、住民の命と暮らしを守ることであり、戦前のような中央集権を排し、平和と自由を守るために政府の動きに抑制をかけることにあります。住民の直接的な政治参加で、民主主義を発揚することも重要な役割です。

 安倍政権による立憲主義破壊の暴走が強まるもと、都知事選挙で憲法を論ずることはとても重要な課題です。

戦争法、住民動員の危険

 安倍政権が昨年9月に強行した戦争法は、地方自治体や住民を、戦争へと動員し、戦争体制に組み込む危険をいっそう高めるものとなっています。

 2004年につくられた国民保護法制は、米国の戦争に自衛隊が協力し、自衛隊が相手国の攻撃の対象となる場合(武力攻撃予測事態)に、地方自治体や住民を政府の軍事方針に従って動かすことを狙いとするものです。「指定公共機関」として、電気、ガス、放送事業者や日本赤十字などの医療機関も動員の対象です。「テロの危険」(緊急対処事態)にも発動されます。

 そのもとで、空港(羽田空港など)や港湾(東京湾周辺など)の米軍による優先使用が認められ、自衛隊による強制使用も可能とされます。

 地方自治体と指定公共機関は、政府がつくる「対処基本方針」=軍事方針に沿って国民の「避難」や「救援」の措置を義務付けられます。国民には、物資の保管や道路の通行制限、土地の強制収用やそのための立ち入り検査、警戒区域への立ち入り制限などが強制されます。

 「国民保護」は名目で、米軍主導の軍事作戦の必要に応じて、国民や自治体の動きを規制することに本質があります。

 戦争法で容認された集団的自衛権の行使は、日本が攻撃されていないのに、米国を攻撃する第三国に対し事実上の先制攻撃をすることで、日本に対する武力攻撃の危険を呼び込むものです。政府も「(集団的自衛権行使が認められる)存立危機事態に該当するのに、武力攻撃事態等に該当しないことはまずない」(横畠裕介内閣法制局長官、昨年9月14日、参院安保特別委)と答弁しており、集団的自衛権を行使する多くの場面で、国民保護法が発動される可能性を認めています。憲法違反の戦争法の発動による自治体・国民の動員と統制を許していいのかが問われます。

自民案に緊急事態条項

 さらに重大なのは、安倍首相が改憲項目のひとつとして掲げる、緊急事態条項の創設です。「外部からの武力攻撃」などの緊急事態において、国民保護のための国等の指示に国民は「従わなければならない」と服従義務が規定されています(自民党改憲案99条3項)。

 この規定の狙いについて、『自民党改憲草案Q&A』は、従来の「国民保護法制」では国民の服従義務について「憲法上の根拠がないために、国民への要請は全て『協力を求める』という形でしか規定できなかった」と不満を告白。国民保護法制による国民の動員に広く強制力をもたせ、大幅な人権制約を可能にすることを狙っているのです。


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