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2016年6月20日(月)

NHK「日曜討論」 志位委員長の発言

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 日本共産党の志位和夫委員長は19日のNHK「日曜討論」に出席し、参院選の争点について与野党党首らと討論しました。司会は、島田敏男解説委員と中川緑アナウンサー。


参院選をどうたたかうか

「安倍暴走政治」の全体を問う――野党共闘の勝利と日本共産党躍進をめざす

 まず初めに「参議院選挙をどう位置づけてたたかうのか」と聞かれ、安倍晋三首相は「アベノミクスの前進か後退かを選択する選挙」と発言。志位氏は次のように述べました。

 志位 「アベノミクス」の是非は争点の一つだと思いますが、それだけに争点をせばめるわけには決していかないと思います。安倍さんは過去2回の国政選挙で、「アベノミクス」一本でたたかって多数の議席を得た。しかし、やったことは何だったか。2013年の参院選挙のあとは秘密保護法、14年の総選挙のあとは安保法制=戦争法の強行、憲法を壊す政治をやってきた。こんなことを3度も繰り返させるわけにいかないと思います。

 私たちは、今度の選挙は、民意にそむく「安倍暴走政治」の全体が問われる。安保法制と憲法改定の問題、「アベノミクス」の問題、TPP(環太平洋連携協定)の問題、原発の問題、そして沖縄の米軍基地の問題――「安倍暴走政治」の全体にノーの審判を下し、チェンジの意思を突きつける選挙にしていきたい。

 野党としては、32の1人区すべてで野党統一候補を実現しました。私たちは、野党共闘の勝利と共産党の躍進を必ず勝ち取りたいと思っております。

アベノミクス

失敗がはっきりした――実質賃金は5年連続減、個人消費は2年連続減。大企業応援から暮らし応援へ転換を

 経済政策について議論となり、安倍氏は「『アベノミクス』はまだ道半ばで、われわれの政策も不十分であることは率直に認めたい」といいながら、「『アベノミクス』は失敗していない。しっかりとこの政策を強く前にすすめていく」と述べました。

 これに対し志位氏はこう指摘しました。

 志位 私は、(「アベノミクス」は)もう失敗がはっきりしたと思っております。安倍さんは「世界で一番、企業が活躍しやすい国をつくる」と述べ、そのために「まず大企業を応援し、大企業がもうけをあげれば、いずれ家計に回ってくる」といって3年半やってきたわけです。ところが、待てども待てども回ってこないわけですよ。大企業は3年間史上最高の収益をあげました。しかし、国民の暮らしの実態はどうか。

 (安倍氏は)いろんな数字をあげられますけど、二つの大事な数字をおっしゃらない。

 一つは、働く人の実質賃金が5年連続マイナス、5%目減りしている。これは1990年度以降、この統計が始まって以降、最悪の数字なんです。

 もう一つは、日本経済の6割を占め国民の暮らし向きを示す指標である個人消費が、2014年度、15年度と、2年連続マイナスなんです。2年連続マイナスというのは、リーマン・ショックのときも1年ですから戦後初めてなんです。消費が冷え込んでいる。

 私は、大企業応援から暮らし応援へ経済政策の抜本的な転換が必要だと思います。

 4野党から「国民の生活は豊かになっていない。転換しなければならない」(民進党の岡田克也代表)との指摘が相次ぎました。

消費税10%再延期をめぐって

(「アベノミクス」の)破綻を示した――先送り実施ではなくキッパリ断念を

 安倍内閣が消費税の10%への引き上げを2年半延期したことについて議論となり、志位氏は次のように述べました。

 志位 10%の引き上げはできなくなった、延期せざるをえなくなった。これは、ひとつの破綻だと思いますよ。なぜこれができなくなったかというと、これは日本経済の個人消費が冷え込んでいる、もう上げられる条件がないわけです。ところが、この失政を認めないで、(安倍氏は)「世界経済がリスクを抱えているから」というが、こういう責任のがれはやるべきではない。

 もともと8%に上げるときに、私は、その直前の衆院本会議(代表質問)で、「97年をピークに働く人の賃金が70万円も減っている。こんなに減っているときに増税をかぶせたら、景気悪化の悪循環を引き起こすことになるから、おやめなさい」と安倍さんにいいました。しかし(首相は)「(経済の)足元は大丈夫」だ、といって上げたわけですね。上げた結果、2年連続の個人消費のマイナスという異常事態をつくったわけですよ。

 この失政の責任を認めて、消費税10%の引き上げは、先送りで実施するということではなくて、きっぱり断念すべきだ。「消費税にたよらない別の道」で、財源を確保する道に転換すべきだと思います。

社会保障充実の財源は

消費税に財源を求めるのはやめよ――「三つの税逃れ」をただせば財源は生み出せる

 社会保障の財源をめぐって議論となり、安倍氏は「消費税の引き上げを延期する以上、全てのメニューを行うことはできません」などと述べました。志位氏は次のように述べました。

 志位 社会保障の財源を消費税に求めるというやり方から決別し、私たちは「三つの税逃れ」をただそうということを提唱しております。

 一つは「大企業の税逃れ」です。研究開発減税など優遇税制があるために、法人税の実質負担率は中小企業は20%、大企業は12%。これは本当に不公正で、中小企業なみの負担を求める。

 二つは「富裕層の税逃れ」。株取引などへの優遇税制があるために、所得1億円超えますと逆に税負担率が下がっていく。この不公正をただして、「アベノミクス」でもうけている富裕層に応分の負担を求める。

 そして三つ目は「タックスヘイブン(租税回避地)の税逃れ」。ケイマン諸島――税金がゼロのあの地域に、日本から74兆円ものお金が投資されている。この「税逃れ」を、タックスヘイブン税制を強化する、あるいは国際協調でタックスヘイブンそのものをなくしていく。そうした努力をやる。

 「三つの税逃れ」をただして、「消費税にたよらない別の道」で財源をまかなうべきだと思います。

富裕層や大企業に応分の負担を求める意思はあるか――首相に問う

 安倍氏が、タックスヘイブンにかんして「租税回避させない枠組みをつくっていく」などと述べました。志位氏は次のように指摘しました。

 志位 私は、「三つの税逃れ」をただすべきだといいました。タックスヘイブンの問題はいろいろやっているということをおっしゃった。

 いくつか聞きたいんですけど、「タックスヘイブン税制」というのがありますよね。(日本の株主が)50%(超の株式をもつ)子会社に限っている。これをきちんともっと強める必要がある。この意思があるかどうかを聞きたい。

 それから富裕層に対する課税の問題。キャピタルゲインの課税を10%から20%にしたとおっしゃった。しかし、世界の標準はだいたい三十数%ですよ。日本は軽すぎる。もっと世界標準に引き上げて、富裕層にきちんと払ってもらう意思があるのかどうか。これを聞きたい。

 それから大企業にたいする研究開発減税等々で、大企業のほうが中小企業よりも税負担が低い。この不公正をただす意思があるのかどうか、これが問われているわけです。連結納税などの巨大企業は6%しか払っていないでしょう。6%ですよ。この不公正をただす意思があるのかどうか。この3点を聞きたい。

 これに対し安倍氏は、タックスヘイブン対策について「しっかりと進めていきたい」としか答えず、「志位さんは企業を目の敵にしています」「成長できなくなってしまっては元も子もない」などと述べました。志位氏はこう反論しました。

「企業を目の敵」になどしていない――大企業が中小企業より税負担が低い不公平是正を求めている

 志位 企業を目の敵になどしていませんよ。中小企業より大企業のほうが税負担が軽いのをまともにしたらどうですかと言っている。大企業に社会的な責任を、とくに巨大な大企業は本当に社会で大きな影響力を持っているわけですから、そういう大企業に社会的責任を果たさせる、社会的負担を負わせるといっているわけです。大企業をつぶすとか、目の敵にしているとか、レッテル貼りはやめていただきたい。

安保法制廃止の野党共闘

違憲の戦争法廃止へ野党統一候補を全1人区で擁立――共通政策は豊かになっている

 安保法制=戦争法について議論となり、司会者から「安保法制廃止で野党が足並みをそろえている」と紹介され、志位氏は次のように述べました。

 志位 そうです。去年の9月19日の安保法制、私たちは戦争法と呼んでおりますが、この強行ばかりは数の暴力でやられたからといってそのままにしてはおけない。憲法違反の法律ですから、これは廃止する必要がある。廃止するためには野党が選挙協力をやって、とりわけ1人区では野党統一候補をつくるための努力をしてまいりましたが、全部で一本化しましたから、自民党を打ち負かすために頑張りたいと思っています。

 この問題、「安保法制の廃止、立憲主義を取り戻す」という太いところで一致しておりますが、野党としてはその他の「共通政策」もこの間、確認しております。「アベノミクスによる貧困と格差を是正する」、「TPPや沖縄の問題にみられる強権的な政治は許さない」、「安倍政権のもとでの憲法改定は許さない」、そういう太いところでも一致しております。それから15本の議員立法を野党4党で共同提案しております。そして「市民連合」のみなさんとは19項目の政策協定を調印しております。こういう中身も「共通政策」にしていくことを確認しておりますので、野党共闘の中身はとても豊かになっているということも言っておきたいと思います。

「立憲主義を取り戻す」という大義で結束、野党連立政権問題も総選挙までに前向きの合意を

 これに対し安倍氏は「与党を倒すために一本化しているが、その後どうするかはまったくない。あまりにも無責任だ」などと主張しました。これに対し、志位氏は次のように反論しました。

 志位 さきほど野党共闘に対する批判があったので反論しておきたいと思います。政策がばらばらだとおっしゃるが、政党が違うのですから違いはありますよ。しかし、私たちは「安保法制を廃止する、立憲主義を取り戻す」という太いところで一致しています。「立憲主義を取り戻す」というのは、憲法を守るまっとうな政治を取り戻すということでしょう。これを壊したのはあなた方です。これはあれこれの政策の違いはあったとしても、横に置いてでも最優先でやるべき仕事です。

 それからもう一つ、(共産党と民進党で)政権(構想)について違いがあるとおっしゃいました。たしかに私たちは野党連立政権をつくろうと言っています。これは合意にはなっておりません。しかし参議院選挙ですからね。参議院選挙では政権はかわらないんです。ですから私たちは総選挙までに、きちんとこの点でも前向きの合意を得るために努力していきます。

 これに先立ち、民進・岡田氏は「巨大な与党が乱暴なことをしてくる。横暴な与党を方向転換していくために野党4党が勝利を得ることで今までのようなやり方は通用しなくなる」と発言。社民・吉田忠智党首は「(戦争法は)憲法9条を骨抜きにしたどころか、平和国家としてのあり方を百八十度変えるものだ、そういう声に押されて32の1人区を一本化する努力をかさねてきた」と述べました。

 続いて次のようなやりとりがありました。

 安倍 総選挙で勝ったら連立政権をつくるということですね。

 志位 そこはそういう考え方でやっています。

 安倍 分かりました。

 志位 参院選では、あなた方がもし負けたとしても自民党政権は続くでしょう。

 安倍 第一歩ですね。民進党、共産党政権の第一歩ですね。

 岡田 そんなことは考えていません。

 荒井広幸・新党改革代表 考えてないんでしょ。

 安倍 違うじゃないですか、全然。

 志位 いや、そこはこれから話し合いをやっていくんです。

 岡田 これからの話し合いです。

憲法改定について

戦争・独裁への安倍改憲ストップの審判を

 憲法問題について議論となり、安倍氏は「自民党は結党以来、憲法改正すると明言しています」としながら、「(改憲発議に必要な)3分の2を今回目指しているわけではありません」などと述べました。志位氏は次のように主張しました。

 志位 安倍さんは、国会答弁で、「憲法を改正していく。自民党は憲法改正草案を決めている。それを次の国政選挙でお示ししていきたい」と言われているんですね。ですから、2012年に自民党が決めた「自民党改憲案」を許していいかどうかが、参議院選挙の大争点だと思います。

 「自民党改憲案」を見てみますと、憲法9条2項を全面削除して、「国防軍」を明記して、「国防軍」が海外での武力行使を無条件で可能とするものになっている。

 それから、「公益及び公の秩序」の名で、基本的人権の制約が可能になっている。

 「緊急事態条項」を設けて、戦争や大規模災害のときに、首相に独裁的な権力を集中していくような仕組みもある。

 これはもう「憲法が憲法でなくなる」。憲法によって国家権力を縛るんじゃなくて、憲法によって国民を縛りつけるものに大変質させるもので、このような戦争と独裁の「安倍改憲」―「自民党改憲案」はストップという審判を下していきたいと思います。

 改憲問題で民進・岡田氏は「憲法の平和主義が変えられてしまう。海外で武力行使できる国になる。それを許すわけにいかない」と述べました。


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