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2016年6月11日(土)

参院選政策 発表会見

志位委員長の質疑応答

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日本共産党の志位和夫委員長は9日の参院選政策発表の記者会見で、記者からの質問に答えました。


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(写真)記者会見する志位和夫委員長=9日、党本部

無党派層にどう訴えるか

 問い 無党派層に対して、どういった点を特に力を入れて訴えていきますか。

 志位 政策の全体を訴えていきたいと思いますが、とくに無党派の方々やこれまで投票に行かなかった方々に投票していただくうえでは、「国民の選択で政治は変わる」という希望をいかに語っていくかという点がたいへんに大事だと思います。この政策では、日本共産党として各分野で責任ある対案を掲げております。「変える道はある」という希望を大いに語っていきたいと思います。

 同時に、野党と市民が力をあわせれば自民党を倒せる。掲げた政策を実行に移すことができる。そういう希望を語っていくことが大事だと思います。「そうはいっても政治はなかなか変わらない」と思っていらっしゃる方に、そんなことはない、政治を変える道はあるし、野党と市民が力をあわせてそういう道を開きつつある。こういう希望を大いに語っていきたいと思います。

政策に野党共闘と書くのは初めてか

 問い 野党共闘を公約に書き込むことは、これまでに例があるのでしょうか。

 志位 全国規模での野党共闘というのは、わが党の歴史でも今回が初めてですから、政策にその中身を書き込むのも今回が初めてです。野党と市民の共闘を成功させること、日本共産党の躍進を勝ち取ること、この二つをセットで訴えていますが、こういう訴え方をするのも、今回が初めてです。

「アベノミクス」への対案はあるのか

 問い 安倍首相は、「今の野党にアベノミクスに代わる対案があるのか」と批判していますが。

 志位 日本共産党として対案は、この政策で「格差をただし、経済に民主主義を――三つのチェンジ」という形で、責任をもって示しています。これを実行するための財源政策も、「消費税にたよらない別の道」という形で、数値の裏付けも踏まえたものをお示ししています。国民の立場に立った包括的で具体的な対案だと、自信をもっていえる内容です。

 4野党としても、「アベノミクスによる国民生活の破壊、格差と貧困を是正する」という党首会談での合意を「共通政策」とすることを確認しています。そして、この間、野党が共同提出した15本の議員立法の内容、市民連合と交わした要望項目の内容も「共通政策」とすることを確認しています。介護・福祉職員の給与引き上げ、保育士の給与引き上げ、ひとり親家庭に対する児童扶養手当の増額、長時間労働の規制、均等待遇と同一価値労働同一賃金、最低賃金の大幅引き上げ、高校完全無償化、給付制奨学金・奨学金債務の減免、被災者生活再建支援法の改正、累進所得税・法人課税と資産課税のバランス回復による公正な税制の実現(タックスヘイブン対策を含む)などが、「共通政策」になります。ですから、「アベノミクス」に対する対抗軸――「国民の暮らしを応援して経済をよくしていこう」という対抗軸が立っているのです。

 安倍首相の批判は全くあたりません。首相は、野党がどういう「共通政策」の合意に到達しているかをみたうえで、ものをいうべきです。

日米安保条約廃棄、「自共対決」について

 問い 日米安保条約について、「国民多数の合意で廃棄」とありますが、どういう位置づけですか。また、前回は「自共対決」の時代という表記がありましたが、それも見当たりません。どういう意味があるのですか。

 志位 もちろん、日本共産党は自民党に対して正面から対決を貫く党ですが、今回の参院選の対決の構図は、「自公とその補完勢力」対「4野党プラス市民」という構図が浮き彫りになっていると考えています。ですから、いまは「自共対決」という言葉を使っておりません。

 日米安保条約については、参院選政策では、「『アメリカいいなり政治』の根源である日米安保条約を、国民多数の合意で廃棄し、本当の独立国といえる平和日本を築く」と明記しています。この日本改革の大方針を追求する姿勢には、いささかも変わりはありません。ただし、この方針を今の野党共闘に持ち込むという態度はとっておりません。この問題では、野党間で立場の違いがあるからです。これらの政策の違いがあったとしても、それを横において、「安保法制=戦争法の廃止、立憲主義の回復」という大義で結束するという方針でたたかっています。

日本共産党と野党全体の目標議席は

 問い 日本共産党の議席目標と、野党全体での議席目標についてうかがいます。

 志位 日本共産党としては、比例代表で850万以上、9議席を獲得するのが目標です。選挙区については13の定数複数区のすべてで議席を獲得することが目標です。そして共産党公認という点では、香川県で野党統一候補となった、たなべ健一さんの勝利を、他党のみなさん、市民運動のみなさんとしっかり協力して、ぜひとも勝ち取りたい。

 野党全体の目標としては、2月19日の5野党(当時)党首会談で、「国政選挙において与党とその補完勢力を少数に追い込む」ことを目標として確認しています。この確認にたって、参議院で与党勢力を少数に追い込むという高い志をもって、この選挙をたたかいたい。野党統一候補が実現した全国32の1人区のすべてで勝利を勝ち取るために全力をあげます。野党共闘の流れを複数区や比例区にも波及させて、野党が全体として勝利するという結果をつくりだしたいと考えています。

子育てや雇用など与党と野党の政策の違いは

 問い 与党側が、子育て支援や雇用問題などで野党が共通で打ち出している政策に近寄っているような雰囲気が感じられます。これをどう評価しますか。

 志位 与党が出してきている政策の中身を見ると、わが党の政策とはまったく違っています。たとえば保育所の問題をとっても、安倍内閣がやっていることは、結局、保育の質を低下させる「詰め込み」と、認可保育所以外の「受け皿」の拡大などで、認可保育所の増設は一言もありません。保育士不足の問題も、「多様な保育士」「保育補助員」など人件費の安い非正規・無資格の職員で対応するというものです。

 これに対してわが党は、30万人分の認可保育所を緊急に増設する、保育士の抜本的賃上げをはかるなど、事態を根本的に打開する方策を示しています。

 雇用の問題でも、安倍首相は、「働き方改革」といって、「長時間労働の是正」や「同一労働・同一賃金」などをいいだしています。しかし、言っていることとやっていることが違う。「長時間労働の是正」といいながら「残業代ゼロ法案」――過労死を促進するとんでもない悪法を継続審議にしています。本気で「長時間労働の是正」というのなら、まずこれを撤回する。そして残業時間の上限を法律で決める労働基準法の改正をやるかどうかが問われます。

 それから「同一労働・同一賃金」というのなら、去年やった労働者派遣法の大改悪は一体なんだったのか。あの法律は、結局、「正社員ゼロ社会」に道を開くものであって、正社員がゼロになってしまえば、「同一労働・同一賃金」もなにもあったものではありません。本気で賃金格差をなくすというなら、非正規から正規への流れをつくる雇用のルール強化こそ必要です。

農業分野での争点は

 問い 1人区の選挙戦は農村部がカギを握っていると言われています。「TPP断固反対」を掲げていますが、農業分野での争点をどう考えているか。政策にある農産物の所得補償について具体策があれば教えてほしい。

 志位 TPP協定それ自体が大争点になると思います。この間、北海道や新潟で訴える機会がありましたが、TPP協定に対する怒りは非常に深い。北海道では道内の市町村長のアンケートで約8割が協定に反対しています。TPP協定を許せば、日本の農業が壊滅的打撃をこうむることは避けられません。これを許さないということが大争点です。

 そのうえで、日本農業の再生の方途としては、農産物の価格保障・所得補償をくみあわせて、安心して再生産できる農業をつくることを、わが党は一貫して主張しています。それから、経営形態としては、家族経営を大事にする。もちろん大規模経営も重視して位置づけることは当然です。しかし一律に大規模化をおしつけるのはすでに破たんしたやり方です。家族経営が日本の条件にあった合理的かつ効率的な形態であり、家族経営が細ってきていることに一番の問題があるわけですから、家族経営を支援する。家族経営を支援するというのはヨーロッパでは中心にすえられていることです。

最低賃金、米軍基地撤去、民進党に対する記述について

 問い 最低賃金はこれまで1000円をめざすとしていましたが、今回、「1500円をめざし、いますぐどこでも1000円」としたねらいは何ですか。米軍基地に関して、「基地のない沖縄」となっていますが、在日米軍基地全体への対応はどうなりますか。前回の政策では民主党に対して自民党と対決する足場がないと書かれていましたが、この部分を削除された意味はどこにありますか。

 志位 最低賃金は労働者のたたかいもあって若干ですが引き上がってきていて、都市部では時給1000円と言っても意欲的に追求できる目標になってこないという意見がずいぶん寄せられました。そういうご意見もふまえて、「いますぐどこでも1000円、1500円をめざす」としました。

 国際的にも、アメリカでは時給15ドル――日本円で約1600円に引き上げる大闘争が起こっています。すでにカリフォルニア州とニューヨーク州などでは15ドルが実現しています。こうした国際的動向を踏まえても、もっと高いところをめざす必要があると考えました。もちろん、抜本的な引き上げをすすめるうえでは、中小企業に対する支援を思い切って強化することが不可欠であり、社会保険料の負担軽減など適切な支援を一体ですすめることを明記しています。

 在日米軍基地全体への対応ですが、日米安保条約そのものを国民多数の合意で廃棄することが大目標ですから、日本全土から基地をなくしていくという目標は当然のことです。首都圏を見ても、厚木基地、横須賀基地、横田基地など、巨大基地を抱えている。こうした基地も含めて、在日米軍基地の全面撤去の方針に変わりはありません。

 民主党(民進党)については前回の政策では、「自民党に対抗する足場を持てない」という記述があったと思います。ただ、この間、変化があったわけです。安保法制=戦争法の問題で、野党が結束して反対した。まずこの問題で、野党が断固とした対抗の足場を共有したわけです。この変化を中軸に野党共闘が進み、安保法制=戦争法が強行された後もそれを廃止する、そして立憲主義を回復する、このことが野党党首会談で合意され、さらに「アベノミクス」の問題、TPPや沖縄の問題、さらに憲法の問題でも、太いところで、安倍暴走政治に対する対抗軸を野党全体で共有できるようになってきた。そういう変化が起こっているわけです。なによりいっしょに協力してたたかっている仲間です。もちろん、政策の違いはありますが、それをここで書くというやり方はしておりません。

公明党について

 問い 公明党は集団的自衛権に関して、2013年の選挙では断固反対だという意思表示をしていました。今度の選挙公約では、国際貢献できる意義を強調しています。そのことについてどう思いますか。

 志位 公明党は非常に罪が深いと思います。2013年の参議院選挙で、集団的自衛権断固反対と言って選挙をやったんです。そのあとの2014年の7月1日の閣議決定はまぎれもなく集団的自衛権の行使容認です。公明党がなんと言おうと、これは集団的自衛権を認めるものです。それを、自民党との間で交わしてしまった。公明党は、これまで「平和の党」ということを標ぼうしてこられたようですが、完全にこれが偽りのものだということが、この間の経過ではっきりしたということではないでしょうか。

これまでの選挙戦との違いは

 問い 明日で投開票日まで30日になりますが、委員長が感じられている今までの選挙との変化、それと今後1カ月間どういうふうに選挙戦を進めていきたいか。

 志位 これまでの選挙戦とは全く違います。これまでは、独自にたたかって、日本共産党の躍進を達成するのが目標でした。しかし、今度の選挙はそれだけではなく、野党全体の勝利に貢献しながら、それと一体に日本共産党の躍進を達成する。二つの目標を同時に追求するたたかいにチャレンジしているところです。

 ただ、取り組んでみて、この二つは矛盾しない。むしろ相乗的に進むという感じがしています。日本共産党が野党共闘の成功のために誠実に頑張ることが、結果として日本共産党を評価していただく流れが広がることにつながっているように思います。また、日本共産党の躍進のために頑張るということは、わが党は野党共闘の一翼をしめているわけですから、この一翼が強くなれば野党共闘が勝利する条件が広がることにもなると思います。この二つの仕事は相乗的に進むということを感じているところです。

 また、選挙戦では、私たちが接する方々も、これまでにないさまざまな立場の方々と協力してたたかっています。私は、この間、金沢市や新潟県長岡市などに、野党統一候補の応援にうかがいましたが、他党の方々、保守の方々、市民運動の方々、ほんとうにこれまでは接点がなかったさまざまな方々と肩を並べてたたかっているわけです。たいへんにやりがいがある選挙戦だと感じています。ぜひ、いい結果を出したいと思っています。

政権構想について

 問い 共産党が、これまでの国政選挙で、直近の目標として政権構想を示されたことはありますか。参院選は政権選択選挙ではありませんが、そこで政権構想を示す意義はどこにありますか。

 志位 これまでの選挙でも、わが党は、民主連合政府という政権構想を一貫して示しています。これは国民連合政府のような暫定的な野党連合政権ではなくて、日米安保条約を解消する、あるいは大企業中心の政治を切り替える、そういう本格的な民主的変革を進める政権構想です。ただこの政権構想は、一定の中長期の展望に立った政権構想として掲げてきたわけで、直近の目標として提起してきたものではありません。

 直近の目標として国民連合政府という政権構想を掲げて選挙戦をたたかうのは初めてです。まだこれは4野党の合意になっていませんが、安倍政権を倒すと言っている以上、倒した後にどういう政権をつくるのかということは、どの野党にも問われてきます。与党との論争においても、この問題は問われてくるでしょう。私たちは「これしかない」と考えていますが、ぜひ、この問題での前向きな合意が得られるように引き続き努力したいと考えています。


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