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2016年5月25日(水)

再批判 自民党改憲案(13)

最高法規を全面破壊

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 自民党改憲案は、憲法が最高法規として国家権力を縛るものであることを根本的に破壊します。

 安倍晋三首相は、2012年末に再度、首相に就任後、まず憲法96条にある改憲手続きの緩和を主張しました。改憲のための国会発議の要件を、衆参両院の3分の2以上の賛成から、過半数の賛成へと引き下げようとしたのです。改憲の中身を示さず、まず手続きを緩和し、改憲をやりやすくする手法は、憲法の縛りを解く最悪の「裏口改憲」=立憲主義破壊だと批判されました。

 96条の厳格な手続きは、通常の法律と同じレベルの手続きによって憲法が変えられなくすることで、最高法規性を担保するものです。

人権不可侵削除

 自民党改憲案が全面削除を企てる、97条の基本的人権の永久不可侵規定―。これは、最高法規の章(97、98、99条)の冒頭に示され、憲法が人権を守る法であるからこそ「最高法規」であることを示す、重要な思想的意義をもつと理解されています。これを乱暴に削除することは、13条の「個人の尊重」から「個」の一文字を削ることとあわせ、個人の尊厳を守るという憲法の本質を踏みにじるものです。

 自民党「改憲案Q&A」では、憲法11条と97条が「内容的に重複していると考えたために削除」したと述べています。これは、人権の永久不可侵が「最高法規」の章に位置づく重みを全く理解しないものです。

国民を縛る法へ

 さらに99条の憲法尊重擁護義務の規定に、「国民」を追加する一方で、同規定から「天皇」を削除しました。99条で、国会議員や国務大臣に憲法尊重擁護義務が課され、国民に義務が課されないことは、憲法が国家権力を縛る法であることを端的に示すものです。

 これに対し、国民に憲法尊重を義務付けることは、まさに“国家を縛る”法から“国民を縛る”法へ逆転することを意味します。まして「良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため」の自民党改憲案です。

 改憲案Q&Aは、「立憲主義は、憲法に国民の義務規定を設けることを否定するものではありません」などとし、日本国憲法の「勤労の義務」「納税の義務」などをあげています。しかし、憲法理念を維持するための個別の課題での義務付けと、個人が消えた国家優先の憲法全体を「国民が尊重せよ」と義務付けることは、比較の対象になりません。

 (つづく)

図
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