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2016年5月17日(火)

きょうの潮流

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 国立西洋美術館でカラヴァッジョ展が開かれています。ルネサンスの思想化された宗教画から写実的な絵に変えたイタリア人画家で、バロック絵画形成の原動力となりました▼ハッとするのは、人物の背後を大きく占める黒い闇と、人物にあたる光です。殺人を犯し、逃亡をはかる中で深く大きくなったといわれる闇の部分。人物を際立たせ、苦悩を溶け込ませているようでもあります▼カラヴァッジョは「よい画家とは、現実をきちんと写しとることができる者」と書き残しました。いまエルマンノ・オルミ監督の映画「緑はよみがえる」が上映中です。こちらは、第1次世界大戦に参加したイタリアの現実を映し出しています▼雪深い山中でオーストリア兵の息づかいが聞こえる距離の塹壕(ざんごう)戦。照明弾が闇を切り裂き、砲弾が着弾し土砂が崩れ落ちます。若い少尉が叫びます。「戦死者は数でなく名前で記せ。一人ひとりだ」。母親には「着任したばかりなのに老人になった。目にした死を持ち帰ります」と手紙をしたためます▼映画はこの大戦で苦悩を抱え、体験を話した監督の亡き父に捧(ささ)げられています。最後に「戦争とは休むことなく大地をさまよう醜(みにく)い獣だ」の文字が出ました。監督が大戦を生きのびた羊飼いから聞いた言葉です▼岩波ホールの出口近くには、撮影現場の模型の上に見終わった人の感想が一言ずつ貼られていました。戦争の愚かさ、痛みや悲しみを受け止め、暗い塹壕の中で交わされた若き兵士の会話から学んだことを。


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