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2016年5月14日(土)

再批判 自民党改憲案(8)

政府への批判許さず

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写真

(写真)高市総務相の停波発言に「怒っています」と会見する(左から)青木理、大谷昭宏、金平茂紀、岸井成格、田原総一朗、鳥越俊太郎の各氏=2月29日、日本記者クラブ

 高市早苗総務相が、放送法4条が定める政治的中立を守らない放送局の電波を止めることは可能だと発言(1月)したことに対し、マスコミ・放送関係者らから厳しい批判が続いています。昨夏の安保法制=戦争法案の審議中には、安倍晋三首相に近い自民党若手議員の会合で、法案に批判的なマスコミを「懲らしめろ」とか「沖縄の二つの新聞をつぶせ」という発言が飛び出しました。

 放送内容への権力的介入や政府批判を押しつぶすことを当然視する姿勢は、自民党改憲案を先取りする危険なあらわれです。

言論の自由制限

 自民党改憲案は、表現・結社の自由について、「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない」(21条2項)としています。

 何が「公の秩序」かを判断するのはまず政府です。「公の秩序」を害する「目的」の表現や結社は認めないというなら、政府に都合の悪い言論、結社、ひいては社会的連帯までが憲法で保障されないことになりかねません。「国防軍」創設とセットで軍事機密保護が憲法上の要請となり、知る権利や報道の自由に優越します。

 「目的」で表現・結社を制限すれば、内心そのものに重大な圧迫をもたらすことになります。

 表現の自由は、国民主権および「知る権利」と直結し、民主政治を支える最も重要な人権です。自由な言論プロセスが機能している限り、権力の乱用も是正される保証があります。表現の自由は、「自由の体系を維持する基本的条件」「すべての自由の母体」として、その規制を厳しく限定するのが現代憲法論の重要な到達点です。

破防法復権狙う

 これに真っ向から挑戦するのが自民党改憲案で、憲法が弾圧の根拠になりかねません。

 実際、改憲案Q&Aでは、「オウム真理教に破壊活動防止法の適用ができなかったことの反省を踏まえ(た)」としており、破壊活動防止法(破防法)の復権に直接の動機があることを認めています。

 破防法は、結社の自由に介入する危険な弾圧立法として戦後一度も発動できずにきました。明確な根拠のないまま、日本共産党や民主団体への不法なスパイ・調査活動の根拠とされてきました。その出番を確保するという異常な動機です。

 さらに改憲案64条の2で政党条項を創設。政党について「国は…その活動の公正の確保及びその健全な発展に努め(る)」として、「政党に関する事項は、法律で定める」としました。結社の一種である政党を憲法上の存在に取り込みつつ、特殊な規制・介入をもたらす意思が明確に示されています。改憲案Q&Aでは「政党助成や政党法制定の根拠になる」と明記しています。

 (つづく)


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