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2016年5月11日(水)

沖縄いつでも「核基地」に

密約今も 辺野古など明記

政府は存在を認め廃棄を

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 沖縄は今なお、米国の核攻撃基地として機能しうる―。日米密約の存在を認めた米国防総省歴史書は、恐るべき現実をさらけ出しました。 (竹下岳)


 戦後、米国の支配下にあった沖縄には1960年代、アジア太平洋地域に存在する米軍の核兵器約3500発中、1300発が配備されていました。

いつでも持ち込み

 しかも、62年のキューバ危機で、沖縄の第873戦術ミサイル中隊に旧ソ連の核攻撃命令が下されていたことが、最近明らかになっています。沖縄は米軍の核先制攻撃の不可欠な拠点だったのです。

 「祖国復帰」を求めるたたかいにおされ、日米両政府は60年代後半から沖縄の施政権返還の検討を始めます。その際、膨大な核兵器をどうするのか、ということが重大焦点になりました。米軍部は核撤去に強硬に反対します。そこで生み出されたのが、表向きは核兵器を撤去するものの、米国はいつでも核兵器を再持ち込みする権利を有するという、69年11月19日に佐藤栄作首相・ニクソン大統領が署名した密約=「佐藤・ニクソン合意議事録」です。

 そこには、こう記しています。「米国政府は、極めて重大な緊急事態が生じた際、日本政府との事前協議を経て、核兵器の沖縄への再持ち込みと、沖縄を通過させる権利を必要とするであろう」

 これは今回、明らかになった歴史書の文言「米国は(核)兵器を撤去するが、危機の際にそれらを再持ち込みする権利を維持している」と一致します。

 重大なのは、密約に「嘉手納、那覇、辺野古、並びにナイキ・ハーキュリーズ基地」と基地名を列挙し、「何時でも使用できる状態に維持」するよう指示していることです。

 「辺野古」とは、米軍新基地建設が狙われている名護市辺野古のキャンプ・シュワブと陸続きの辺野古弾薬庫を指します。

拒否する根拠なし

 「佐藤首相もニクソンもいなくなったが、密約そのものは今も生きていて、沖縄基地を支配している」。日本共産党の不破哲三前議長が3月16日、那覇市内で行った講演での指摘が、今回の歴史書で裏付けられました。

 この沖縄核密約に対する日本側の対応はあまりにお粗末なものでした。少なくとも2010年の密約調査では、密約文の政府内での保管は確認されず、佐藤首相の次男宅に存在するという「私文書」扱いでした。

 しかし、米側は日米間の正式な条約として考えていることが、今回の歴史書で確認されました。66年から69年にかけて沖縄返還交渉の米側担当官を務め、密約にも関与したモートン・ハルペリン氏も14年9月、本紙の取材に対し、「密約は確かに存在しており、今も有効だ。それは両首脳が署名しているからだ」と明言しています。

 米国は今も核戦略を維持しています。緊急に核兵器を沖縄に再配備する必要はないとしても、このままでは、将来的に米側が再配備を主張した場合、これを拒否できる法的根拠がありません。核密約の存在を認めた上で、廃棄することが、沖縄県民に対する政府の責任です。


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