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2016年5月11日(水)

主張

「パナマ文書」公開

富裕層の税逃れ断罪すべきだ

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 多国籍企業や富裕層が課税を免れるため利用しているタックスヘイブン(租税回避地)の実態を暴露した「パナマ文書」について、分析してきた国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が文書に盛り込まれた約21万4000社の情報を公開しました。日本からもソフトバンクのグループ会社や伊藤忠商事、丸紅などの法人や大企業経営者などの名前が含まれています。「パナマ文書」は氷山の一角とはいえ、タックスヘイブンが大企業や富裕層の税逃れに広く使われていることを浮き彫りにしており、貧困と格差拡大の是正のためにも厳しい追及が不可欠です。

“不公平”に高まる批判

 タックスヘイブンは法人税などがかからないか国際的にみても極めて負担が少ない国や地域で、中米のパナマはその一つです。多国籍企業や個人がタックスヘイブンに名前だけの会社(ペーパーカンパニー)を作って税金を低くおさえ、複数のペーパーカンパニーに資金を転がして犯罪にかかわる資金の出所を分かりにくくするマネーロンダリング(資金洗浄)などが大きな問題になってきました。重税であえぐ一般国民を無視した不公平さは明らかです。タックスヘイブンでの企業設立には国際的な金融機関が絡んでいることが多く、多くの金融取引が秘密にされていることが背景にあります。

 「パナマ文書」はパナマでペーパーカンパニーの設立にかかわってきた法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出したもので、文書を持ち込まれたドイツの新聞社が国際的なジャーナリスト団体ICIJに依頼して分析にあたってきました。文書は全体で1150万件といわれるほど膨大で、21万社以上の法人が設立され、世界的な大企業や富裕層、政治家などがかかわっていたといわれます。4月に文書の存在が初めて報道されて以降、国際的に大問題になり、アイスランドの首相らが辞任しました。文書の公開は初めてです。

 タックスヘイブンに企業を設立すること自体は違法でなくても、大企業や富裕層が通常の課税を免れるために国際的な金融機関や法律事務所と結託してペーパーカンパニーを規制されずに設立し、利益をため込み、課税を免れることは、経済をゆがめることになります。脱税自体が目的だったり、犯罪などに絡む違法な資金の「洗浄」のためだったりすれば明らかに犯罪行為です。

 今回公表された21万社余りの企業が設立されたのはパナマのほか、イギリス領バージン諸島やバハマ、セーシェル島など、いずれも世界的に有名なタックスヘイブンです。日本関係で名前があがった大企業などは「適切に納税している」と説明しますが、それで済むのか。不公正な行為にかかわった疑惑に真剣に向き合うべきです。

政府責任で解明と追及を

 税金はそれぞれの企業や個人が所得や資産に応じて納めるべきもので、大企業や富裕層だからといって海外などに資産や所得を持ち出し、まともに税金を納めなければ、財政は成り立ちません。租税回避や脱税の一掃は国際会議でもたびたび取り上げられているのに、タックスヘイブンの弊害があとを絶たないのは重大です。

 日本政府も自ら「パナマ文書」などを分析し、大企業や富裕層への税務調査を行うなど、不正を許さない取り組みを強めるべきです。


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