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2016年5月5日(木)

再批判 自民党改憲案 (2)

無制限の武力行使可能

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 安倍晋三首相は、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」などが3日に開いた改憲集会に自民党総裁としてビデオメッセージを寄せ、「憲法に自衛隊という言葉はなく、憲法学者の7割が違憲の可能性があるといっている。本当に自衛隊は違憲と思われているままでいいのか。国民的な議論に値する」と述べました。自民党の稲田朋美政調会長も「(自衛隊違憲論のもとで)9条2項をそのままにしておくことこそ立憲主義の空洞化だ」と繰り返しています。

 9割以上の憲法学者が戦争法は「違憲」だと批判したことは無視して強行しながら、改憲の口実に“自衛隊違憲論”を持ち出す、自民党のご都合主義は通用しません。

2項削除の狙い

 そもそも自衛隊違憲論の「克服」は、便宜的な口実。自民党改憲案の「国防軍」創設=9条2項削除の狙いは「自衛隊の追認」にとどまりません。

 自民党改憲案は、これまで海外での武力行使の歯止めとなってきた9条2項を削除したうえに、新2項で「前項(戦争放棄)の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない」との規定を盛り込みました。

 この「新2項」について自民党改憲案Q&Aは、政府が集団的自衛権の行使を禁ずる理由を「9条1項・2項の全体」の解釈によるとしていることから、戦力不保持規定を削除したうえ「新2項」を設け「自衛権の行使に何らの制約もないように規定しました」と説明しています。

 現行憲法9条2項の戦力不保持規定を削除しても、1項の「戦争放棄」の解釈次第で、なお集団的自衛権の行使が禁止されるおそれがある―。その可能性を念入りに排除したということです。

 「専守防衛」の自衛隊“追認”どころか、無制限の海外での武力行使を可能とする―。ここに自民党改憲案の最大の狙いがあります。

明文改憲を狙う

 安倍首相は「自衛隊が違憲なら、集団的自衛権も違憲になる」とも述べます。

 これまで政府は“自衛隊合憲”論を主張し、それと一体で「集団的自衛権の行使は許されない」と海外での武力行使を禁じてきました。安倍政権が憲法解釈変更で集団的自衛権行使を容認すると、自衛隊を「合憲」とする保守派憲法学者からも「安保法制は違憲」と指摘され、それが国民的批判の爆発の発火点となりました。今度は“自衛隊違憲”論を持ち出し、「新2項」を含む明文改憲を狙う―。安倍首相のごまかしはご都合主義で、稚拙です。

 安倍自公政権は、虚構の多数で戦争法を強行したものの、憲法9条2項がある限り、「違憲」「立憲主義破壊」の批判がやむことはありません。集団的自衛権行使のための「存立危機事態」の認定、承認をめぐっても、その都度、国会で激しい憲法論争となることも避けられません。(つづく)


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