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2016年5月5日(木)

衆院定数 根拠なき10減 国民に不利益

小選挙区制廃止こそ

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 小選挙区制を温存し、定数を10減らす衆院選挙制度関連法案の自公案が連休明けにも参院で審議されます。国民の参政権にかかわる重大法案であるにもかかわらず、衆院では3日間の委員会審議で採決する暴挙でした。審議で判明したのも驚くべき内容です。(藤原直)


図:衆院定数削減の自公案

 重大なのは、法案の柱である衆院定数10減(小選挙区6減、比例代表4減)には根拠がないことです。

 今回の法案は、自公両党と民進党の双方が衆院選挙制度調査会(衆院議長の諮問機関)の答申を「尊重する」として独自案を提出したもの。同答申そのものが、「(現在の衆院定数は)国際比較や過去の経緯などからすると多いとは言えず」「削減する積極的な理由や理論的根拠は見出し難い」としています。

提出者も嘆き

 4月27日の衆院政治倫理・選挙特別委員会で日本共産党の穀田恵二議員が定数についてただすと、自公案提出者の自民党の細田博之衆院議員は、今回の削減で「(日本の人口が半分だった)90年前の水準に議員数が減ってしまう」と嘆き、「代議士は代表として選ぶわけだから多いほうがいい」と述べました。公明党の北側一雄衆院議員は「答申の言う通り(現在の定数は多くない)」と述べ、「論理矛盾」(穀田氏)が浮き彫りになりました。

 メディアからも疑問の声が上がっています。「読売」社説(4月29日付)は、「定数を減らせば、多様な民意が反映されにくくなる」、「国会の行政監視や立法の機能も低下しかねない」、「(1票の)格差是正が困難になる点も見過ごせない」と指摘しました。「身を切る改革」についても「定数でなく、政党交付金や議員歳費を減らす方が理にかなっている」と主張しています。

民意の反映を

 法案は、「1票の格差」をめぐって衆院選を「違憲状態」とした最高裁判決への対応を看板にしていますが、同判決が求めているのは「1票の格差」の是正で、定数削減ではありません。

 いまの選挙制度をめぐる根本問題はどこにあるのでしょうか。

 日本共産党の塩川鉄也議員はこの間の質疑で、安倍暴走政治の下、国民から「なぜ政治に国民多数の声が反映しないのか」という声が上がっていると強調。法案に小選挙区制を温存する仕組みが盛り込まれていることを批判し、「民意と議席にかい離を生み出す小選挙区制こそ廃止し、民意を反映する選挙制度に抜本的に改革すべきだ」(4月28日の衆院本会議)と主張しました。


【なぜ減らすの?】

定数削減を盛り込んだ自公案・民進案提出者らの発言

 ▼自民党・細田博之衆院議員「議員が少ないほど民主主義が適当かはわからない。できるだけ多くの党が当選して多彩な議論が行われる方がいい面もある」

 ▼公明党・北側一雄衆院議員「答申が(定数削減の)理論的な根拠に乏しいというご意見であったことは承知している」

 ▼自民党・逢沢一郎衆院議員「諸外国との人口比ではわが国の国会議員は多くない。身を切る改革イコール定数削減との考え方にはくみするべきではない。定数は少ないほどいいという向き自体大変問題だ。国民の声を代弁する貴重な議席は国会議員のものではなくて国民のものだ」「定数削減自体が目的化するのは問題だ」

 ▼民進党・逢坂誠二衆院議員「通常国会は多いとき100本の案件が上程される。(会期)150日で1.5日に1本。定数を減らすほど、議員がさまざまな法案に接する機会は減る」

 (4月27日、衆院政治倫理・選挙特別委員会での答弁)


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