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2016年4月4日(月)

「どう臨む後半国会・参院選」

志位委員長の発言

NHK日曜討論

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 日本共産党の志位和夫委員長は3日放送のNHK日曜討論「どう臨む後半国会・参院選」に出演し、消費税増税など経済問題、安保法=戦争法、憲法問題など参院選の焦点の問題について与野党党首らと討論しました。司会は、島田敏男解説委員と中川緑アナウンサー。


新年度予算成立・追加経済対策

「アベノミクス」の破たんはっきり ― 大企業応援から暮らし最優先に切り替えよ

 5兆円の軍事費などを盛り込んで過去最高規模に膨らんで成立した2016年度の当初予算。その成立直後に安倍晋三首相が参院選前の追加経済対策の検討を打ち出したことがテーマになりました。志位氏は次のように発言しました。

 志位 予算成立の直後に、追加対策を打ち出さなきゃならないということ自体、経済政策の行き詰まりを示していると思います。私は、3年間の「アベノミクス」、いまや破綻がはっきりしたと思っています。

 (安倍)総理は、まず大企業を応援して大企業がもうければ、いずれ家計に回ってくるという、いわゆる「トリクルダウン政策」をやってきた。しかし、待てども、待てども、回ってこないわけですよ。

 大企業が空前の利益をあげても、労働者の実質賃金は4年連続でマイナスです。1人あたり20万円減った。非正規雇用は増えたけれども、3年間で正社員は23万人減っています。そして経済の6割を占める家計消費はマイナスを続け、とうとう「アベノミクス不況」に陥っている。

 私は、「アベノミクス」は失敗したと(考えます)。この事実を認めて、経済政策を大企業応援から国民の暮らし最優先に百八十度切り替える。これが求められていると思います。

 志位氏の指摘を受け、司会の島田氏は、自民党の高村正彦副総裁に「どう答えるか」と質問。高村氏は、有効求人倍率や企業の倒産件数などの数字を持ち出して、「これがなぜ失敗か」と弁明しましたが、志位氏は「GDP(国内総生産)もマイナスが続いているわけですよ。家計が冷え込んでいる。その事実に目を向けるべきだと思います」と批判しました。

保育所の待機児童解消

国が財政支出を行って、認可保育所を増やし、保育士の賃金の引き上げを

 「保育園落ちた」の匿名ブログをきっかけに、国会で大問題に浮上した保育所の待機児童問題。「われわれの政権で積極的に取り組んで、受け皿を増やしてきた」(公明党の山口那津男代表)などと釈明する政府・与党の対応について問われ、志位氏は次のように発言しました。

 志位 政府の対応策を見ますとね、結局、保育の質を落として(子どもを保育所に)詰め込むという内容になっていて、問題解決にならないと思うんです。

 私は、問題解決のために、二つの提案をしたいと思います。

 第一は、待機児童問題は、認可保育所を増やして解決する。この認可保育所が決定的に足らない。その最大の原因は、公立保育所に対する国の補助を廃止して、「一般財源化」してしまったことにあります。このために10年間で2500カ所も公立保育所が減っているんですね。この姿勢をあらため、(国が)思い切って財政支出をやって、公立保育所を増やす。

 第二は、保育士さんの賃金を引き上げる。そして、深刻な保育士不足を解消する。これは国が(保育士の賃金水準の)基準を決めているわけですから、決断してやるべきです。(保育士の賃金は)だいたい10万円くらいの差が一般労働者に比べてあるわけですね。野党共同で、まずは5万円引き上げようという提案を出していますが、これをぜひ超党派で(法案を)成立させたいと思っております。

 志位氏の指摘を受け、自民・高村氏は「(保育の)質を落とすといってもべらぼうに落とすわけではない。(自治体として)上乗せ基準をつくっているところがあって、緊急対策としては(受け入れの)数に重点を置いてほしい」などと、安心して子どもを預けたいという保護者の願いを踏みにじって、保育の質を落とすのは当然という発言を行いました。民進党の岡田克也代表は「危機感が足らないということに尽きる」と野党共同法案の実現を主張しました。志位氏は、次のように批判しました。

 志位 (高村氏は)国の基準でやればいいとおっしゃったけれど、自治体はそれでは不足だと、それでは子どもさんの安心な保育をできないということで上乗せをやっているわけです。それを下ろせというのは、これは逆だと思います。

「同一労働同一賃金」

本気で取り組むというなら、「均等待遇」を法律のなかに明記すべきだ

 安倍首相が今国会の冒頭で表明した「同一労働同一賃金」が議論になりました。自民・高村氏は「法律をつくる必要はあるだろうし、ガイドラインをつくる必要もあるだろう」との見方を示しました。志位氏は、次のように政府・与党の姿勢をただしました。

 志位 「同一労働同一賃金」は当然だと思います。ただ、そうおっしゃるんだったら、本気で法改正に取り組むのかどうかが問われてくると思います。

 私は、日本にはただすべき異常な賃金格差が二つあると思います。一つは、男性に比べて女性が7割という男女の賃金格差です。もう一つは、正規労働者に対して非正規労働者が5割〜6割という正規・非正規の賃金格差です。

 私たちは、この格差をただそうということで、男女雇用機会均等法、パート労働法、労働者派遣法などのなかに「同一労働同一賃金」「均等待遇」を書き込みなさいと繰り返し言ってきました。それに対してことごとく与党は拒否してきたわけですよ。

 ですから、「同一労働同一賃金」ということをおっしゃるんだったら、それをこれらの法律のなかにきちんと書き込む意思があるのかどうか。これが問われてきます。これはどうなんでしょうか。そういう法律は全部やり直すべきだと思います。

 司会の島田氏から回答を促された公明・山口氏は「法改正、ガイドラインを明確に打ち出していく」とのべました。自民・高村氏も「日本共産党が言うとおりになるかは別として、われわれも法改正を考えています」と述べました。

労働者派遣法の改悪で無制限に派遣への置き換え―矛盾した政策をあらためよ

 これを受けて志位氏は、次のように発言しました。

 志位 私は、(与党が)「法制化」と言われたので、これはぜひしっかりやっていくように促していきたいと思うのですが、一方で、去年やられた労働者派遣法の改悪という問題があります。

 派遣(労働)は「原則1年、最大でも3年」という期間制限を外してしまって、どんどん正社員を派遣社員に置き換える法改悪をやった。そういうことを一方でやるというのはまったく矛盾した政策です。これをあらためるかどうかも問われていると思います。

 他の野党も「異なる職種であっても同じ価値であれば同じ扱いをするべきだ」(民進・岡田氏)、「官製ワーキングプアといわれる問題もあわせて法改正の形で解決すべきだ」(社民・吉田忠智党首)などと求めました。

消費税10%増税

引き上げは中止せよ―富裕層・大企業に応分の負担を求め、暮らし支える財源を

 来年4月の消費税率10%への引き上げをめぐって自民・高村氏は「リーマン・ショックとか大震災のような大きなインパクトがない限り(消費税率を)引き上げるべきだ。今の時点でリーマン・ショックほどのことにはなっていない」と、予定通り増税すべきだとの立場を表明しました。公明・山口氏も「今、先送りうんぬんを判断する状態ではない」と同調しました。志位氏は次のように発言しました。

 志位 私たちは、消費税10%は中止すべきだと主張したいと思います。

 私は、一昨年1月の(衆院)本会議の代表質問で、“こんな経済情勢のもとで8%増税を強行したら、必ず景気悪化の引き金を引く”と、中止を強く求めました。そのとき総理は“(増税の)影響はワンショット、一時的だ”といって強行したわけです。

 しかし結果は、増税から2年たつけれども、家計消費はマイナスがずーっと続いている。その事実を示されて、最近、総理は、「予想以上に消費が落ち込み、予想以上に長引いていることは事実だ」ということを認めましたよ。

 経済失政だということを事実上認めた。それによっていま、「増税不況」がつくりだされているわけですから、私たちは、消費税10%は中止する。そしていま、政府がやっている大企業への4兆円もの減税のバラマキ、これをやめて、富裕層や大企業に応分の負担を求める税制改革をしっかりやって、国民の暮らしを支える財源をつくるというところに切り替えるべきだと強く言いたいと思います。

 志位氏の発言を受け、自民・高村氏は「消費税の影響は確かにあった」と認める一方、「消費が良くないのは、消費税(増税)の影響以上に、世界経済の需要の縮小だ」などと弁明しました。民進・岡田氏は「アメリカの景気は悪くはない。最大の原因は実質所得が目減りしていることだ」と指摘しました。

安保法制(戦争法)廃止法案

憲法9条、立憲主義を破壊―国民の前で堂々と審議せよ

 安保法制=戦争法をめぐって日本共産党、民進党、社民党、生活の党の野党4党が今通常国会に共同提出している廃止法案が議論になりました。民進・岡田氏は「(安保法は)すでに施行されているが、その取り消し・撤回を求めていく姿勢に変わりはない。憲法違反のものが、時間がたてば憲法に合致するということになるわけではない」と指摘。これに対し、自民・高村氏は「最初から合憲なものは合憲」と言い放ち、「この前の国会で200時間にも及ぶ審議をして、与党2党だけでなく野党3党にも合意してもらって成立した。(与野党の)国会構成は変わっていないから、通る可能性はまったくない。単なるプロパガンダ(扇動)のために法案を出してくる。この日米同盟、日米関係にどれだけ悪い影響を与えるかよく考えてもらいたい」などと野党攻撃に終始しました。

 岡田氏は「(安倍)総理は法律が成立したときに、国民に『これからも丁寧に説明していく』とのべたではないか」と提起。志位氏は次のように発言しました。

 志位 私たち(野党4党)は共同で安保法制の廃止法案を出したわけですが、いま岡田さんからもあったように、法案を強行したさいに、総理は、「国民の理解を得られていないのは事実だ」とお認めになりました。そして「今後も丁寧に説明していく」と、これは約束したんですよ。

 ですから当然、われわれはそれ(説明)を求めて、臨時国会を要求した。しかしそれも開かない。今度、私たちが公式に提出したこの廃止法案も、審議もしないという。(与党は)「蒸し返す必要はない」というけれども、これは蒸し返さないわけにはいかないんです。

 これが憲法違反だということは、私は国会審議を通じて明瞭になったと思います。憲法9条を踏み破って自衛隊が海外での武力の行使を行う、たくさんの仕掛けがつくられている。そして立憲主義を壊す、すなわち60年余にわたる「憲法9条のもとでは集団的自衛権行使はできない」という(政府の)憲法解釈を一夜にしてひっくり返すという、立憲主義の破壊というやり方がとられた。

 こういう乱暴なやり方で成立させられたのが安保法制ですから、この廃止法案しっかり審議してくださいよ。国民の前で堂々と議論しようじゃないですか。

共産党も民進党も、 国会の正規の場で審議入りを要求している

 この提起に自民・高村氏は、「私は2週間ぐらい前に自民党国対に『これ審議するの』と聞いたら、日本共産党からは審議しろっていう話がどんどんあるけれども、当時の民主党からは一度もそういう話はない。ましてや、一部の民主党の議員は審議しないでくれとまで言ってきてる」などと発言したため、激しいやりとりになりました。

 岡田 ばかなことを言わないでくださいよ。何を根拠にそんなことを言っているんですか。きちっとだれが言ったか明確にしてください。

 高村 自民党の国対から聞いている。

 岡田 あんな失礼な話はないですよ。取り消せ。

 高村 取り消さない。

 廃止法案を取り扱っている衆院議院運営委員会という国会の正規の場での発言でなく、しかも伝聞での攻撃です。志位氏は次のように発言しました。

 志位 ちょっと待ってください。これは事実関係として、議運委員会の場で、民進党も共産党もみんな共同してちゃんと(審議入りを)要求しているんです。これは事実の問題です。

 岡田 明確に、誰がどうしたか、どういう場で言ったか。われわれはきちんと審議を求めていますから。

 自民・高村氏は「自民党の国対がウソをつく必要はまったくないと思っている」というのが精いっぱい。このやりとりで、おおさか維新の会の片山虎之助共同代表は「与野党とも(審議を)やりたくないといううわさが流れている」と無責任な発言を行い、「そんな根拠のないことを言っちゃダメです」(岡田氏)、「うわさの話をしてはいけない」(志位氏)ときびしくたしなめられました。

参院選と憲法改定

「自民党改憲案」=安倍改憲を許していいのか、安保法制=戦争法を廃止するのか

 参院選で安倍首相が憲法改定を争点化しようとしていることが議論になりました。自民・高村氏は「憲法改正が主要な争点になるかといったら、なりえない」と弁明しました。志位氏は次のようにのべました。

 志位 安倍首相自身が、「憲法を改正していく。自民党は憲法改正草案を決めている」ということを明言しているわけですから、私は、今度の参議院選挙でまさに「自民党改憲案」の是非が争点になると思います。

 「自民党改憲案」というのは、憲法9条2項を全面的に削除して、「国防軍」を書き込む。そして海外での武力行使を制限なくやれるようにする。あるいは「緊急事態条項」を創設して事実上の「戒厳令」に道を開く。こういう重大な中身が入っています。

 さらに言いますと、「憲法が憲法でなくなる」ようなきわめて重大な内容です。すなわち立憲主義というのは、「憲法によって権力を縛る」というものなのですが、(「自民党改憲案」は)「憲法によって国民を縛る」――つまり「公益及び公の秩序」のためには基本的人権を制約できるという内容が入っている。こうなりますと、立憲主義の全面破壊なんですよ。

 ですから、そういう立憲主義の全面破壊に進んでいいのか、「自民党改憲案」――安倍改憲を許していいのか、それとも安保法制=戦争法を廃止するのか、これが大争点になると思います。

憲法の「公共の福祉」は人権の調整概念、「自民党改憲案」の「公益」は人権を縛るもの

 これに対し自民・高村氏は「自民党憲法改正草案」が「一つの判断の対象になる」と認めたうえで、志位氏が指摘した「改憲案」に記述されている「公益及び公の秩序」について、志位氏との間で次のようなやりとりになりました。

 高村 それから、何ですかその、公の秩序、私も正確なことは…。

 志位 「公益及び公の秩序」です。

 高村 「公益及び公の秩序」、そのことは、今の憲法の「公共の福祉」という言葉を置き換えただけです。

 志位 それはまったく違います。

 高村 「公共の福祉」が(人権の)制約要因にしている。そのことは分かりにくいからそれを置き換えただけです。

 志位 「公共の福祉」を言い換えたものだとおっしゃいましたが、「公共の福祉」というのは、いろんな人権がぶつかり合ったときにそれを調整する概念なんですよ。あなた方が出している、「公益及び公の秩序」というのは、上からの、国家目的のために、人権を縛るというもので、まったく違う。そういう意味でも立憲主義の破壊です。

 高村 それはまったく違います。「公益」というのは、まさにそれぞれの人権の衝突を…。

 志位 それは「公共の福祉」という概念なんですよ。

 高村 「公共の福祉」なんていう言葉はね。分かりにくいですよ。いままでの日本語からいってね。

 志位 いやいや、人権がぶつかりあったときに調整するという概念です。

 高村 われわれの概念も同じです。

 志位 違います。

 高村 われわれが作ったものを、われわれが言っているわけだから。

 志位氏が指摘したように、日本国憲法13条の「公共の福祉」規定は、すべての国民に平等に保障される人権相互の衝突を、それぞれの人権を尊重しながら調整する原理です。それを「公益」「公の秩序」なるものに置き換えれば、国家目的のために人権制約を広く認める重大な危険が生まれます。高村氏のように、「言葉を置き換えただけ」という弁明は通用しません。

衆参同日選挙

衆院小選挙区でも選挙協力をやって、安倍政権を衆参ともに少数に追い込む

 与党内に、安倍首相が消費税増税を「再延期」して参院選に合わせた衆院解散・総選挙を実施するとの見方があることについて、自民・高村氏は「(衆参)同日選と消費税先送りをリンクして考える必要はない」と指摘する一方、「解散権は首相にある。(解散の可能性が)大きいとは思わないが、衆院議員は常在戦場で考えている」などと発言しました。志位氏は次のように述べました。

 志位 同日選というのは、私は邪道だと思います。解散権の乱用だと思います。

 ただ、そういうことになった場合でも、野党として勝てる態勢をつくる必要がある。私たちはいま、参院の1人区、(全国)32の1人区で、野党の選挙協力の努力をやっています。それでだいぶ進んできましたけれども、衆院の小選挙区でもぜひ選挙協力をやって、そういう状況になったときには、安倍政権を衆参ともに少数に追い込むという決意でのぞみたいと思います。

 司会の島田氏から「衆院選のほうでも共産党が独自候補の擁立を控えることもありうるということか」と問われ、志位氏は「小選挙区でもきちんとした合意ができれば、それはそれぞれが推しあう、相互に支援しあうということになります」と答えました。


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