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2016年4月3日(日)

主張

戦争法と首相発言

「日米同盟の絆」強化こそ危険

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 安倍晋三首相は、先月末施行された戦争法(安保法制)を正当化するため、「日本を守るためにお互いが助け合うことのできる同盟はその絆を強くする。絆の強い同盟によって、抑止力は高まっていく」と繰り返しています。しかし、戦争法は、米軍が世界のどこでも戦争に乗り出せば、自衛隊が参戦する違憲の法制です。在日米軍基地も、「日本防衛」ではなく、中東をはじめアジア太平洋全域への出撃拠点の役割を担っています。海外での米国の戦争に日本を全面的に組み込む「日米同盟の絆」を強めることこそ危険な道です。

「抑止」どころか緊張激化

 安倍首相だけでなく、与党など戦争法を推進する勢力は、北朝鮮による核・ミサイル問題を挙げて「安保法制廃止で日本を守れるのか」と言い立てています。

 北朝鮮の核・ミサイル開発は一連の国連安全保障理事会決議、6カ国協議(中国、米国、韓国、北朝鮮、日本、ロシア)の共同声明、日朝平壌宣言に違反する暴挙であり、絶対に許されません。同時に、問題の解決方法は対話しかなく、戦争は選択肢になり得ません。

 今必要なのは、国際社会が一致結束して、国連安保理決議が定めた経済的な制裁措置の全面実施とともに、対話の場として最もふさわしい6カ国協議を再開させて北朝鮮に核兵器を放棄させる働きかけを抜本的に強めることです。

 北朝鮮の軍事挑発に対して、日本が戦争法という軍事態勢の強化で対抗しようとすれば、「軍事対軍事」の悪循環に陥るだけです。北朝鮮の核・ミサイル問題の解決に役に立たないばかりか、それこそ一番、危険な道です。

 かつて首相官邸で安全保障・危機管理問題を担当していた柳沢協二・元内閣官房副長官補は、戦争法について「安保法が成立し、日米の関係が強化されても、北朝鮮の核開発は止めることはできていない。中国は南シナ海の実効支配の強化を続け、過激派組織『イスラム国』(IS)をめぐる中東の混乱も収拾の展望はない。抑止力は高まっていないのではないか」と繰り返し指摘していることも注目すべきです。

 北朝鮮問題を、戦争法廃止を拒む口実に持ち出すことは全く道理がありません。「日米同盟の絆」の強化は、戦争の「抑止」どころか、アジア太平洋地域の軍事的緊張を高める結果にしかなりません。

 しかも、戦争法施行により「同盟の絆」が強められたことで、自衛隊が戦後初めて外国人を殺し、戦死者を出す危険がますます現実のものになろうとしています。

 内戦状態にある南スーダンのPKO(国連平和維持活動)に派遣されている自衛隊部隊に対し、今秋にも、他国部隊が襲撃された際の「駆け付け警護」、「住民保護」のための「治安維持活動」、「宿営地の共同防衛」といった新たな任務が追加されようとしています。任務遂行のための武器使用も認められています。南スーダンPKOで初めて自衛隊が違憲の武力行使をし、「殺し、殺される」ケースとなる危険があります。

9条の平和外交戦略で

 戦争法の廃止、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」撤回、立憲主義の回復は喫緊の課題です。憲法9条に基づく平和の外交戦略を確立するため、世論と共同のたたかいを一層大きくする時です。


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